藤原拓海はプロジェクトDに参加することとなった
初めてのミ−ティング
拓海はとても緊張していた
なにせ高校生は自分だけ
周囲の人々は自分よりもとても年上で大人なのだ
一番年が近い啓介でさえ3歳上なのだ
ドキドキッ大人の世界への第一歩に拓海は緊張して震えていた
ミ−ティング場所のファミレスにいくと皆がもう席に座っていた
「すいません,遅くなって」
恐縮する拓海を皆が笑って迎えてくれる
涼介と啓介の間に席を作ってもらって拓海はちょこんっと座った
「何にする?皆はもう注文を済ませたんだ」
涼介がチ−ムオ−ナ−らしい気配りをみせてくれた
「あっそれじゃあ涼介さんと同じのを」
涼介はコ−ヒ−を飲んでいる
拓海もそれにするっと言うと涼介が注文してくれた
さっと手を上げてウエイトレスを呼びつける
ウエイトレスもかっこいい涼介を見ていたらしくすぐに来てくれた
「ヒ−コ−,一つ」
「はい,畏まりました」
ウエイトレスは注文を受けて何事もなかったように去っていく
周囲の人間も何事も無かったように談笑している
(何故だっ何故なんだ−っ)
拓海の体に戦慄が走った
あなたの知らない死語の世界・・・
2に続く
[あなたの知らない世界2]
運ばれてきたコ−ヒ−を飲んでようやく落ち着いた拓海は周囲を見渡した
(あれがレッドサンズの,いやプロジェクトDの常識なんだ,俺もなれなくっちゃ)
緊張する拓海
周囲のメンバ−は談笑している
「今日は皆の友好を図るために堅苦しい話は無しにしているんだよ」
涼介はにっこりと微笑んで教えてくれた
「拓海はなにが趣味なんだい」
「あ,俺,あんまり趣味っていうほどのものがなくて」拓海はしどろもどろになって答える
他のメンバ−からもいっぱい質問をされたが拓海は口下手なので上手く答えられなかった
(どうしよう,このままじゃういちゃうよ,みんなになじまなきゃ)
焦る拓海
メンバ−の話は自然に涼介の話題となった
「でさ,涼介のは白いFCに赤いペイントだろ,藤原君はどう思う?」
広報部長の史紘が黙りこくっている拓海に気を使って話しかけてきた
(よしっここは一発逆転のチャンスだ)
拓海に力が入る
「それってナウいですよね」
拓海が言葉を発した瞬間,ファミレスに天使が通った
誰もが気の毒そうに拓海と視線を合わせない
「まっまあそうだな,涼介のFCはかっこいいよな」
「ああ,目立つしな」
皆が必死でフォロ−を入れてくれるのがありがたくも情けない
(何故だっ何故なんだ−)
心の中で拓海は絶叫してしまう
藤原拓海18歳,言葉の難しさを感じるお年頃
あなたの知らない死語の世界・・・
3へ続く
[あなたの知らない世界3]
プロジェクトDの一回目のミ−ティング
話はフレンドリ−な方向へと進んでいった
「でさ,やっぱり俺としてはミイちゃん派な訳よ」
史紘が言うと松本が答える
「いや,断然ケイちゃん派ですね,あの色気がたまらん」
他のメンバ−も話にのっている
「俺的にはランちゃんの方が清楚っぽくてよかったよな」
「ランちゃんが一番,全員集合は見逃さなかったもんな」
「涼介はアグネスチャンだったんだよな」
「さすが涼介さん,通好みっすね」
拓海にはちんぷんかんぷんの話ばかり
(どうしよう,みんなが何言っているのか分からないよ,このままじゃういちゃうよ)
焦りまくる拓海
その時横に座っていた啓介がそっと耳打ちしてくれた
「みんな年よりのじじいばっかだからな,わからねえだろ,昔の話なんて」
そう言ってにやりと笑う啓介
「ま,若い奴らって言ったら俺と拓海くらいだからな,仲良くやろうぜ」
啓介はそう言って握手してくれた
「・・啓介さん」
啓介の優しさに目がうるうるしてしまう拓海
「それでさ,拓海はおにゃんこの中で誰が一番好きだったんだ?」
啓介の一言に凍りつく拓海
(いやああぁっ分からないよ−)
拓海はモ−ニング娘の世代であった
恐怖のジェネレ−ションギャップ 終わり