援助の心得

 

「ええっ茂木が援助交際」
ここは群馬県立渋川高校のとある教室の片隅
我らがパンダアイドルの藤原拓海は親友のいつきからある重大な情報を教えられていた
「そうなんだよ,茂木なつきって前からそんな噂あったけどまさかまじだったとはな」
うんうんと頷くいつき
援助交際,それは危険な香り
中年の男性が若い女の子とお付き合いするためにお金を払う,
まあ昔の契約売春のようなものである
「おっ大人だ」
仲の良いクラスメイトが大人の階段をすでに上り始めているのかっと拓海は少々焦りを感じた
「でもよくないよな,そんな金なんかのために体を売るなんてさ」
いつきがぽつりと呟く
「うにゃにゃ?」
大人の階段について気を取られていた拓海はうにゃっといつきに向き直る
「だってそうだろ,絶対後で後悔するぞ,茂木は」
「後悔?だってお金貰ってても好きな相手なんだからいいんじゃないのか?」
拓海の言葉にいつきはだああっと脱力した
「茂木が中年男とラブラブ−?そんなことあるわけないじゃん,
茂木はお金が目当てなんだよ
,でもそんな端金のためにバ−ジン捨てちゃってさ,後で絶対後悔するぜ」
「お金のために茂木は体を許しているのか?」
拓海の質問にいつきはおうっと答えた
「想像してみろよ,
いくら金貰えるからって中年男に尻尾とか撫でられちゃって体触られちゃっていやらしいこといっぱいされちゃうんだぜ,
があっそんなことよく女は出来るよな」
うんうんっと妙なところで感心するいつき
「お金のために茂木はそんなことを」
うるるんっと拓海の目が潤んでしまう
「茂木の家はそんなに貧乏だったのか」
どうもこのパンダはポイントがずれているらしい
「いつきっ茂木がどこで援助交際しているのか教えてくれ」
拓海のあまりの剣幕にいつきはびっくりした
「えっいいけどっ拓海,どうする気だ」
「俺,茂木を説得してくる,
貧乏だからって援助なんてよくないよ,
みんなでカンパすれば茂木は援助なんてしなくてすむようになるからさ,
俺,茂木のとこいくからいつきはみんなにカンパを呼びかけておいてくれ」
なんかポイントがずれているが拓海は正義感がとても強かった
いつきもずれているので拓海の提案にうんうんっと頷く「がんばれよ−っ拓海,応援しているからな」
ちゃりちゃりちゃり
自転車をこぎながら拓海が向かうは茂木の援交の地
群馬パシフィックホテルである


 

 

 はあはあっと息を切らしながらホテルのロビ−で人を探すガクランの美少年
これは目立つ,大変に目立つ
陶器のように白い頬がうっすらと桃色に染まり,荒い息が薔薇色の唇からこぼれ落ちている
それに倒錯的な学生服が艶かしい
初々しいその仕種,可憐な尻尾,そして保護者を探しているかのようにきょとんっとした鳶色の瞳
周囲のものはざわめき立った
「なんて可憐な,月20万でも惜しくない」
「俺なら30万だすぜ」
「35万でもオ−ケ−だ」
何故皆拓海を見ながら値段の話をしているのか
 そう,懸命な読者の皆様ならもうお分かりだろう
ホテルのロビ−,そこは大人の社会
援助交際や一夜のラブアフェアを楽しむために大人はロビ−にやってくる
そこで手持ち無沙汰にしている相手と,むふふ
(どうもバブリ−世代なもんで,ごめん)
拓海はそんな一夜の恋のアバンチュ−ルを求める者にとって格好の標的になってしまったのだ

 

「なあ,三十万だすからさ,いいだろ」
「やっいやあっやめてください」
拓海はある中年サラリ−マンによってトイレに連れ込まれていた
「お金欲しくてあそこにいたんでしょ,ほら,俺はお金持ちだからさ」
「違うの−っいや−っやめて−−,にゃあにゃあ」
しまった茂木の援助交際を止めるつもりが自分が援助を迫られるとは
おそるべしホテルのロビ−
「ふふっ可愛い尻尾だね」
中年男の油ぎった指が拓海の秘所に伸びてきた
「ああっいやっあっあああ」
その時である
突然トイレのドアがばたんっと開いた
男が用を足しに入ってきたらしいがその男,
拓海と中年を見るとまっすぐこちらに近づいてくる
男は中年に近づくとべりっと拓海から中年を魅き剥がした
「りょっ涼介さん,どうしてここに」
「そういう拓海こそどうしてここにいるんだ」
そう,拓海を助けてくれたのは誰であろうあの高橋涼介であった
涼介は大学の都合でこのパシフィックホテルに今晩部屋をとっていたのである
「拓海,何をしていたんだ」
涼介の柳眉がぴくぴくっと震える
このホテルはそういう場所として裏では有名なのだ
先ほどロビ−に降りた涼介にもその手の視線が投げられて辟易していた
(拓海はここで何をしていたんだ
まさか相手を物色していたのでは)
その恐ろしい想像を涼介は否定する
(俺の拓海に限ってそんなことをする訳がない)
だが涼介のそんな希望は一人の中年によって無惨にも壊されてしまう
「おいっ邪魔するなよ,この子は俺が月30万で契約したんだからな」
先ほど涼介に引き摺り倒された中年がジャストタイミングで状況を説明してくれた
簡潔にわかりやすく,激しく誤解のある説明を
「拓海,まさか君は」
「りょっ涼介さん?」
涼介の全身がわなわなと震える
(俺の拓海が援助交際,許せない)
そして地を這う声で一言
「俺は50万払おう」
「えっ涼介さんっ50万って?ええええ」
呆気に取られる中年を踏みつけると涼介は驚く拓海をだっこして自分の部屋へと連れていったのであった




 シュルリッ
ネクタイを外しながら涼介がゆっくりと拓海に近づいてくる
いつもの優しい涼介さんなのにその態度が何故か恐くて拓海の毛は逆立ってしまった
「拓海はいけない子だ」
涼介は微笑みながら言う
「援助交際をするなんて」
涼介の目は笑っていない
びっくりしたのは拓海である
なんでそんな誤解が生まれたのか
「涼介さん,違いますよ,援助交際っていうのは女の子がするんです」
俺は男でパンダだから当てはまらないという拓海
やはりどこかずれている
「21世紀の援助交際に男の子も女の子もないんだよ」
そういいながら涼介は獲物を狙う狩人の目で拓海に迫ってきた
「やっ涼介さん,何をするんですっやあぁ」
涼介はネクタイで器用に拓海の両手を縛り上げた
「50万払うんだからね,オプションは付けてもらわないと」
きらりんっ涼介の瞳が光った

 学生服の上から涼介の指が拓海の果実に絡みついて揉み解している
「やあっそんなとこ触っちゃやだ」
必死に足を閉じようとする拓海だが涼介の頭が太股の間にあるから閉じられない
「可愛いね,拓海のここは」
拓海の1,5倍はある大きな涼介の手が小さな拓海の果実を握り締めた
そのまま形を確かめるように撫でてくる
「ああっにゃあっ」
拓海の果実はこの異状な状況にもかかわらず反応を始めていた
「本当に可愛い」
ジ−っと前を開く音がホテルに響く
涼介の指が下着の間から進入してきた
「ひっあっ涼介さん」
小さな果実を下着から引き摺り出すと涼介はそれにキスの雨を降らせた
チュッチュックチュクチュ
フレンチキスが拓海を狂わせる
「やああんっやめて」
「可愛い,食べちゃいたいよ」
チュウっと吸われて甘い蜜が拓海の先端から漏れ出したちゅっちゅっと後ろも蜜の袋にもキスが降ってくる
「ああんっ駄目,そんなとこ吸わないで」
腰をふって逃げようとする拓海を涼介は押さえ込む
「気持ちいい?俺に嘗めてもらって」
涼介の口淫の虜になってぼ−っとしている拓海はこくこくと頷いた
「それじゃあ俺と契約してくれるね,月50万で」
「でもっ50万なんて大金」
まだその大金に二の足を踏んでいるパンダ
涼介はそんな拓海の唇に甘いキスの嵐を降らせた
「50万なんて端金,拓海を手に入れるためだったら惜しくない」
 腰を拓海の果実にすりつけながら涼介が拓海に迫ってくる
「あっあああっそんな激しく動かしたらいやん」
「いいよ,拓海,最高だ」
二人の蜜で濡れている涼介の雄
涼介はその欲望を拓海の尻尾に押しつけた
「いくよっ拓海,契約の印だ」
やああっ尻尾がさけちゃう−っ
 拓海はこうして涼介と援助交際することになったのであった

 

 

 

 るんるんるん
上機嫌の親友を見て頭をかかえるいつき
なんでも拓海は援助交際を止めるつもりが自分で援助交際してしまったらしい
「でも幸せだからいいにゃん,それにね−っ俺いっぱい援助交際して貯めたお金で涼介さんを旅行に連れていってあげるんだ」
「旅行?」
「そう,世界中の峠ツア−ッとってもお金がかかるけど大丈夫,俺月に50万も稼いでいるんだもん,すぐに二人分の旅費なんて溜まるよ」
うきうきしている拓海を見ているといつきは脱力してしまう
なんか拓海の援助交際はずれているような気がする
そこで拓海が断言する
「俺ばりばり援助交際して稼ぐぞ,それが男の甲斐性ってもんだもんね」
やっぱりずれてるパンダ拓海であった