この本はフィクションであり実在の人物,団体とは一切関係がありません,ご了承下さい

[関東最速プロジェクトVSレディ−ス魔破羅蛇啼衣都]

 

 

 皆様はお気づきだろうか?
普段何気なく通り過ぎる公道
その道には色々な世界があるということに
 歩道を歩く人々,仕事で車を使う人々,車が趣味な人々タクシ−運転手,トラック運転手,また買い物に原付きで出かけるおばちゃん,公道にはドラマが溢れている。
 今回はその中で乗物のドラマに焦点を当ててみよう。
乗物といってもそれは一括りには出来ない奥の深い世界である。
 乗物という世界,それは様々なジャンルに別れているのだ。
前置きが長くなってしまったし乗物全体に焦点を当てると幅が広すぎるので今回は乗物の中でもあるジャンルを徹底的に分析してみようと思う。
 乗物に人生をかけている人々についてだ。
これのジャンルは大きく分類すると4種類に分けられる。 暴走族,カミナリ族,走り屋,自転車
更に詳しく分類すると暴走族の中でもル−レット族,レディ−ス,など細かく派閥が出来てくる。
 走り屋にしてもラリ−屋,峠屋などと話していたら100Pのオフセット一冊出来てしまうのでここでは省略させてもらう。
 この本で紹介するのは暴走族ジャンルのレディ−スと走り屋ジャンルのプロジェクトDについての検証である。
 何故この二つなのか?という皆様の疑問はもっともである,
それは群馬という地域を観察サンプルに選んだ場合特筆すべきカリスマチ−ムが存在していたからに他ならない,
 あまり細かいつっこみはいれないでくれたまえ
クレ−ムは最後に受け付けるから

 

 高橋涼介にその連絡が入ったのはプロジェクトDが始動してしばらくたった頃のことであった
 レッドサンズのメンバ−が緊急に涼介の助けを求めてきたのだ。
「すいません,涼介さんの手をわずらわせて,でも俺達では太刀打ちできないんです」
恐縮するメンバ−から聞かされた内容は驚くべきものであり涼介は怒りに肩を震わせた。
「今晩,赤城に向かう,それまで持ちこたえるんだ」
頼もしい涼介の言葉,
涼介さえ来てくれればこの状況は打破できるっレッドサンズのメンバ−は涙を流した

 


 プロジェクトDのミ−ティングの場所が急きょ赤城に変更されたのを知ったメンバ−は驚いた。
「どうしたんですか?涼介さん」
涼介の顔は苦渋にゆがんでいる。
 そして驚くべき事実を伝えたのであった
「俺達プロジェクトDが留守の間に赤城が別チ−ムに侵略されたという連絡が入った」
「なんですって?赤城が?」
「どういうことなんですか?一体」
皆が驚くのももっともだ,赤城の峠といえばレッドサンズ及びプロジェクトDのホ−ムコ−ス
そのレベルの高さは関東に鳴り響いている
 プロジェクトDに太刀打ちできる走り屋チ−ムは関東には存在しないしD程ではないにしろレッドサンズも群馬ではナンバ−1だろう。
「誰だよっその命知らずのやろうどもは」
俺達が出向いていって返り討ちにしてくれる
啓介がいきりたって質問をした
「それは今晩,赤城で分かることだ,いくぞ,赤城へ」おおおおっメンバ−が怒りに立ち上がる。
 こうして決戦の火蓋が切って落とされたのであった

 


 ここで説明を入れておこう
峠というシステムについてである
 従来,峠は誰でも走れる公共の場所であるのだが,やはり力の強い,走りの速いチ−ムがその峠を仕切るのが習いとなっていた。
 赤城はレッドサンズ,妙義はナイトキッズ,日光はエンペラ−といった具合である
もちろん他にも小さいチ−ムがあるがそれらの勢力は弱く,部に対して同好会といったレベルのものだ。
 一つの峠に1チ−ム,強いチ−ムはいくつもいらない,あれば争いの元となるだけ
これが峠の掟であった
 涼介の話では赤城峠一のレッドサンズに殴り込みをかけてきたチ−ムがいるらしい。
 プロジェクトDで自分たちが他の峠に殴り込みをかけている間にホ−ムコ−スを荒らされてはたまったものでない,
 どこのどいつだか知らないがこてんぱんにしてやる
レッドサンズとプロジェクトDと高橋兄弟を敵に回したことを後悔させてやる
 赤城の峠は嵐の前の静けさを秘めながら夜を迎えるのであった。

 

 

 場所は変わって前橋のファミレス
ここにはウエイトレスすら近寄れない集団が陣取っていた。
「亜蘭,ほんとうに今晩けりつけるんだろうね」
チャ髪をなびかせながら眉の無い少女がチ−ムリ−ダ−に声をかける
「当たり前だよ,未弐衣,いい加減こっちも頭にきてるんだからね」
亜蘭と呼ばれた女性がセ−ラムライトメンソ−ルを吸いながら答える。
周囲のこわもてねえちゃんたちがいきりたった。
「走り屋だかなんだか知らねえけどレディ−スの実力思い知らせてやりましょうぜ,亜蘭ねえさん」
「そうですよ,ぼこにして二度と群馬走れないようにしてやりましょう」
紫頭のモヒカンレディや赤頭の獅子舞娘も今夜のバトルに命をかけている
「分かってるよ,みんなの命,この亜蘭があずかったからね,いくよっ」
おおおおおっファミレスとは思えないおたけびを上げてレディ−ス軍団は立ち上がったのであった。
 この異様な集団,彼女達は暴走族である
暴走族の中でもレディ−スと呼ばれる特殊なチ−ム
名前は魔破羅蛇啼衣都,マハラジャナイトと呼ぶ
このチ−ムは関東暴走族連合でもカリスマ的存在として名を馳せていた。
 他の追随を許さない鉄の掟で結ばれたカリスマチ−ムそれがマハラジャナイト
 13代ヘッドは白百合亜蘭(偽名)
彼女らは現在の社会に大きな不満を抱いていた
暴走族が流行った80年代と違い今,暴走族は落ち目,
はっきりいってマイナ−ジャンル
 それに比べて走り屋というのはある有名アニメの影響か人気絶好調なのだ
それが非常に勘に触る。
怒りに拍車をかけたのがプロジェクトDとかいうチ−ムのホ−ムペ−ジであった
 公道最速理論とかぬかしやがって許せない
公道は走り屋専用ではないのだということを思い知らせてやる。
 こうしてレディ−スは立ち上がった。
天狗になっているプロジェクトDを叩きつぶしてやる。
マハラジャナイトはまず赤城に奇襲攻撃をかけた。
 所詮2軍のレッドサンズなど魔破羅蛇啼衣都の敵ではない,
こてんぱんにやられたレッドサンズがDに救いを求めることは作戦の内であった
こうしてプロジェクトDをおびき出し,高橋兄弟のカリスマ伝説をギャラリ−の前でひっぺがしてやる
 これこそがレディ−スの狙いであった
「半端な男は嫌いなんだよ」
今日も亜蘭ねえさんの口癖が決まった。
 ウオンウオンウオンッ
 けたたましい爆裂音を響かせて暴走族レディ−ス目指すは赤城峠

 

 


 赤城の峠は異様な熱気に溢れていた
「拓海ちゃん,かわいいよな」
「きゃ−ったっくんこっち向いて−」
「あの色っぽい首筋がたまらん」
 あちらこちらで歓声と悲鳴と鼻血が飛び交っている
そうなのだ,今日は久々にご無沙汰だったプロジェクトDが来ているのだ。
 そう,アイドルパンダ拓海が赤城の山に来ているのだ
これはもう燃えるしかないギャラリ−の皆様
「拓海は俺達のもんだっ勝手に写真をとるんじゃねえ」
 パンダを抱きしめてうなる啓介,パパラッチを追い払うのに一生懸命だ
「拓海,疲れただろう,お茶でも飲むかい」
ポットからア−ルグレイをコペンハ−ゲンのティ−カップに注いでくれる涼介
 Dでバトルを繰り返してきた彼らにはもうバトル前の緊張感なんてこれっぽっちも持っていなかった
 その時である,麓から何台ものバイクのエンジン音が聞こえてきた。
「来たぞっ魔破羅蛇啼衣都だ」
どうやら今晩のバトルの相手がいらっしゃったらしい

 

 

 その昔,FDやランエボ対ハチロクという車が段違いのバトルはあったのだが・・・
車とバイク,暴走族と走り屋というバトルはありえるのであるうか?
 ギャラリ−が固唾を飲んで見守る中,レディ−ス達は次々に峠に現れた。
 皆その異様な服装(背中に刺繍の入ったガクランや裾の広がったドカチン)一昔前の流行バトル服に目を離せない。
 一人のレディ−スが涼介の前に出てきた。
この女ただものではない。
亜蘭の堂々とした態度に緊張が駆け抜ける。
「あたいたちは前橋でレディ−スやっているマハラジャナイトってもんだけどあんたが高橋さんかい」
 涼介が代表して受け答えた
「俺が高橋涼介,プロジェクトDのオ−ナ−でレッドサンズのリ−ダ−,そして藤原拓海の恋人だ,前橋のレディ−スが峠になんの用だ」
 さりげなく自分のプロフィ−ルに加えて恋人宣言までやらかす涼介にブ−イングの声が上がる
「殴り込みだよ,あんたたちのやっている公道最速理論とやらは走り屋だけのものだろう,公道はあんたたちだけのもんじゃねえってことを教えてやろうと思ってね」
女たちが彷徨を上げた。
 このレディ−ス,そこらの男よりも筋の通ったこわもてばかり,
ギャラリ−もメンバ−もびびりまくる
 涼介が軽蔑した視線を投げかけた。
「ここは峠だ,おまえらのくるところでは無い」
暴走族は麓で遊んでいろといわんばかりのその態度がレディ−スの怒りに火を注ぐ
「そういうかっこつけのやさ男ぶりが鼻につくんだよ,カリスマとか呼ばれていい気になってんじゃねえよ」
「弟のださい半端なヤンキ−ぶりも鼻につくんだよ」
レディ−スの憎悪の標的は高橋兄弟へと向けられた。
 その時である
「やめてください,涼介さんも啓介さんもお嬢さん達も」
じっと黙っていた拓海が悲痛な叫びを上げた
ぷるぷると可憐に華奢な体を震わせながら拓海が前に歩み出る。
「拓海,下がっていろ,危険だ」
「そうだっ拓海,お前は俺達が守る」
止める涼介と啓介の手を振り払って拓海はレディ−スの前に立ちはだかった。
「なんでみんな喧嘩するんですかっそんなの無意味です,車だってバイクだって乗物じゃないですか,タイヤがあって走ればみんな乗物なんですよ,それを愛する人たちがなんで喧嘩しなくちゃいけないんですか?」
まちがっています,そういうのっ
 拓海は恐怖に尻尾を震わせながら訴えかけた。
峠が静まり返った。
亜蘭は目の前の少年をじっと見つめる
少年は澄んだ瞳をしていた
この少年は藤原拓海,確かダブルエ−スの片割れだとホ−ムペ−ジに書いてあったのを亜蘭は思い出す
目に涙をためながら必死に訴えかける少年の気持ちは亜蘭,そしてレディ−スに忘れかけていた何かを思い出させる。
 ふっと亜蘭は微笑んだ。
「あんた,話が分かるじゃねえか,誤解してたよ,プロジェクトDの事を」
亜蘭は遠くを見つめながら語り始めた。
「車とかバイクとか,暴走族とか走り屋とかそんな事は関係ないんだってことを今思い出したよ,みんな公道では仲間だってことをね」
あんたが思い出させてくれた,ありがとう
 亜蘭がにっこりと微笑む
思いが通じたのだ
拓海もにっこり微笑んだ
「あんたみたいなのがいるんだったら男もまだ捨てたもんじゃねえ,あんた,拓海ちゃんだっけ,マハラジャナイトのマスコットボ−イにならないかい?」
ええっ?ええええ−っ
 どこをどうしたらそういう展開になるのであろうか
「えっでも俺走り屋だし,」
丁重にお断りしようとする拓海に亜蘭とレディ−スがたたみかけてくる
「今言ったじゃないか,乗物のりはみんな仲間だってね」
焦ったのは高橋兄弟
「ちょっとまてっ拓海はプロジェクトDのダブルエ−スなんだっそんな暴走族のマスコットなんてさせられるか」
「そうだぜ,拓海はDのマスコットなんだからな,てめえらにゃあ渡さねえ」
さきほどのなごやかな雰囲気はどこへやら
レディ−ス対プロジェクトDの拓海争奪バトルはここよりスタ−トするのであった

 

 


  え−っちゃんと書きたかったんですけど
  時間的に無理なので・・/
  エピロ−グだけですいません
  拓海がレディ−スのマスコットになっちゃ  うというベタねたです
   続きやりたいな,うふふ