高橋啓介21歳,獅子座
性格は猪突猛進なアニマル系 現在はお気楽大学生でプロジェクトDのエ−ス
順風満帆に見えるこの男はこの半生大した悩みもなく順調に人生を歩んできた
,だが彼は今重大な疑惑に直面している
それは彼の価値観や自己をも崩壊させかねない程大きな負担となって高橋啓介に伸しかかっていた
ドライバ−として,プロジェクトDのエ−スとしてダケデモストレス過多なのにこの疑惑までも抱え込んでいては啓介の精神に大きな負担を与えかねない
一刻も早く疑惑の解明が必要であった
「なぜだっ何故こいつは髭がはえていないんだ?」
爽やかな早朝,啓介は呆然としながら呟いた
ここはプロジェクトD遠征先の民宿,
昨日のバトルでも大勝利を納めたDの御一行はそのまま宴会に雪崩れ込んだ
それはいい,よくある話だ
そしてそのままみんなで雑魚寝してしまうというのもよくある話
だがこんなのはあまり聞いたことがない
「やっぱそうだったのかよ」
啓介が呆然としながら視線を向ける
視線の先には一人の青年がすやすやと寝息をたてていた
「・・・可愛い」
無意識に呟いてしまう啓介
青年というにはあまりにも幼い,少年と言った方がしっくりくるようなその肢体を無防備に投げ出して藤原拓海18歳
,ダブルエ−スの片割れは惰眠を貪っていた
藤原拓海はとても華奢で可愛らしくて峠のアイドルである
その可憐な仕種は少年というよりも少女のようなあどけなさを醸し出している
「男なのになんでこんなに可愛いんだ?」
そう,そこが問題
啓介は不覚にもドキドキしてしまうのだ
ダブルエ−スの片割れを見る度にどきどきしてしまう啓介の心臓と啓介の息子さん
「俺はっ俺はホモじゃねえええ−っ」
高橋啓介21歳,人生最大の危機である
「俺はホモじゃねえ,ホモじゃねえホモじゃねえ」
念仏のように呟いても股間の高鳴りは隠せない
しかし今まで啓介は女専門だった筈
なのに何故,藤原拓海にだけ胸が高鳴るのか
そこで一つの疑問が啓介の脳裏を掠めた
「世の中こんなに可愛い男がいるのだろうか?」
男子高校生と言えば一番むさくるしくて暑苦しくてニキビばしばしの油ギッシュなお年頃
なのに藤原拓海はつやつやとした桃のごときほっぺたにストロベリ−のようなリップで啓介を魅了する
「ひょっとしたら」
藤原拓海は女なのではないだろうか?
そう考えると全てが納得いく
大体啓介が男に惚れる訳ないのだ
啓介が男に惚れるのと藤原拓海が女だったというのとどちらが現実味があるか?
もちろん啓介は即効で藤原拓海女説に飛びついた
(単にホモだと認めたくないだけだが)
こうして啓介はこの疑惑の確信を得るために日夜,藤原拓海を調査しているのだった
今,啓介は決定的な証拠を掴もうとしていた
「髭が生えていねえ」
そう,藤原拓海は朝だというのに不精髭が生えていなかったのだ
普通の男ならば12時間もするとちょびちょびと生えてくるものなのだ
あの珠のお肌の兄ですらちゃんと不精髭が生えているというのに藤原拓海にいたっては毛の一本も見当たらない
「やはりこいつは女だったのか?」
啓介は興奮に打ち震えた
「女だてらに俺とダブルエ−ス組むなんてよ」
でへへっでれ−んと鼻の下が伸びてしまう
「これからはエ−スカップルと呼んでもらおう」
そうして二人は結ばれるのだ,でれれん
啓介はこれからの未来に向かって妄想を膨らませた
藤原拓海が男だったらホモという茨の道が待っているが女ならばラブラブ新婚さんいらっしゃ−い,ノ−プロブレム問題なしなのだ
「いやっ待てよ,もしかしたら単なる無毛症なのかもしれん」
啓介の頭に更なる疑惑が沸いた
「ここははっきりと確かめておかねば」
念には念をいれておくことが大切なのだ
拓海が女だという確かな証拠を掴まなければ,疑惑の芽は小さいうちに摘みとらなければいけない
「拓海,ちょっとだけな,はあはあ」
息を荒くしながら啓介は拓海の浴衣の裾をまくりあげた
「・・・よかった」
ほっと暗渠のため息を漏らす啓介
緊張のあまり強ばっていた力が抜けていく
「臑毛も生えていねえ」
このつややかな足にごわごわのすね毛が生えていたら啓介は泣いていただろう
それにしても拓海の足はお手入れもしていないのに無駄毛一本も無いすばらしい肌だ
まるで啓介の掌に吸い付くような太股
つ−っと生暖かい鼻血が啓介の顎を伝った
「いっいやっまだ無毛症の可能性がある」
それには他の毛も確かめなければ
ドキドキドキドキッ
ぶるぶるとおこりのように震える手を押さえながら啓介は拓海の下着に手をかけた
「おっ俺が確認してやるぜ,はあはあ」
ずるっずるるっ
拓海を起こさないように細心の注意を払いながら啓介はトランクスをひっぱった
「むにゃむにゃ,う−ん」
寝ぎたない拓海は起きる気配がない
その時である
啓介は背後からものすごい殺気を感じた
「・・・啓介.何をやっているんだ」
地を這うような兄の一言
はっと振り替えると全員メンバ−は起床していた
皆,顔には不精髭が生えている
起きていないのは寝汚い藤原拓海だけ
「啓介さんっみそこないましたっ」
「寝込みを襲うなんて走り屋の風上にもおけません」
メンバ−は全員拓海フリ−ク
冷たい視線が啓介に突き刺さる
「熟睡している拓海に悪戯をしようとは,我が弟ながらその行為は万死に値する」
不精髭も青々しい涼介が啓介を断罪する
「ちっちがうっちがうんだ−っ俺はただ疑惑を解明しようとしてっ別に変態なことをしようとしたんじゃないんだ−っ信じてくれ,兄貴−」
「問答無用」
じりじりとにじり寄るメンバ−
「あんぎゃああ−っ」
啓介の声にならない悲鳴が民宿に木精した
さてっ藤原拓海は男なのか女なのか
その疑惑解明はまた来週
[高橋啓介による藤原拓海観察考 2]
高橋啓介は悩んでいた
プロジェクトDのエ−スであり名高い走り屋であるこの男を悩ませるのはただ一つ
ダブルエ−スの片割れ,藤原拓海の正体である
今日も遠征先の峠で啓介は拓海の事を観察していた
メカニックの松本と車の前で話している拓海
うっすらと頬を染めて一生懸命に松本の話を聞いている姿はもう犯罪なほどに可愛い
「やっぱあれが男なんて信じられないぜ」
くわえ煙草の火を付けるのも忘れて啓介は拓海に見とれてしまう
華奢な腰付きは男をそそる
魅惑的な細い足首
啓介が抱きしめたら折れてしまいそうな果敢無さが拓海にはあるのだ
どきどきっ高鳴る心臓と股間を押さえるのに啓介は一苦労だ
「今回こそはその化けの皮を剥がしてやるぜ」
にやりっと笑うと啓介
実は啓介は決定的な証拠を握っていたのだ
日夜,拓海の行動を観察した結果,啓介は重大な事実に気がついた
そうなのだ,
藤原拓海はつれしょんをしないのだ
男ならば誰でもつれしょんの経験があるだろう
だが藤原拓海とつれしょんした奴はいないのだ プロジェクトが始動してすでに1カ月もたつというのに
「これは異常だぜ」
とうとう尻尾を捕まえたぜっ
そうなのだ
藤原拓海にはつれしょん出来ない理由があるっ
何故なら藤原拓海は女だから
でへへへへっでれれ−んと啓介は鼻の下を伸ばしてしまう
やっとこの疑惑から開放される,そして拓海と啓介はラブラブカップルエ−スになるのだ
それには早く確証を持たなければいけない
そう決意すると啓介は更に追求の手を伸ばすのであった
プラクティスが終わってほっと一息ティ−タイム
拓海を囲むようにして皆が缶コ−ヒ−を味わっている
(この衆人監視の中,俺が拓海の正体を暴いてやる)
啓介は意気揚々と拓海に声をかけた
「たっ拓海,つれしょんしようぜ」
緊張のあまり震えている啓介に拓海はつれなく一言
「あっ俺はいいです,後で」
啓介はここぞとつっこみを入れた
「そっそういやあお前とつれしょんした奴っていねえよな,なんかお前女みたいじゃん」
啓介の爆弾宣言に周囲がざわめく
「そういやあ,俺達も藤原とトイレで一緒になったことねえなあ」
「遠征先のホテルでも風呂一緒に入らないし」
「男にしちゃあ可愛いよな,藤原って」
「女の子って言われても違和感ねえよな」
メンバ−も啓介に指摘されて初めて気がついたらしい
藤原拓海は女ではないのか
メンバ−の疑惑の視線が拓海に突き刺さる
そんな視線に拓海は頬を染めながらぼそっと呟いた
「だって俺,小さいから」
みんなの前では恥ずかしくって
と小さな声で言う拓海
「ちっ小さいからって普通はつれしょんぐらいするだろうが−っ」
啓介が必死になってつっこみを入れるが
「それに,俺,まだ皮かぶってるし」
拓海の小さな呟きにメンバ−は一同納得した
「そうだよな,あれは恥ずかしいよな」
「大丈夫だよ,拓海,大人になれば自然に剥けるから」皆の優しい言葉が包茎の拓海の心に染みた
納得出来ないのはただ一人
「やめろ−っ俺の天使がそんな下品な事を言っちゃいけねえ−っ」
啓介の天使は皮かむっているなんて下品な事をいってはいけないのだ
そうだっきっとあれは藤原の偽物に違いない
怒濤の涙を流しながら公衆トイレに駆け込む弟を見て兄は大きくため息をついた
「あいつはドリ−マ−だからな」
横で拓海も同意する
「ほんと,啓介さんってドリ−マ−ですよね」
メンバ−も一同頷いた
本当に啓介さんはドリ−マ−・・・
さて,藤原拓海は男なのか女なのか
その疑惑解明はまた来週
[高橋啓介による藤原拓海観察考 3]
高橋啓介は苦悩していた
ダブルエ−スの片割れ,藤原拓海の秘密をまだ解明出来ていないのだ
それは啓介を毎晩苦しめた
毎夜,藤原拓海は啓介の夢に現れる
それはそれは淫らな姿で啓介を誘う
しかし,うおおお−んと啓介が野獣のように飛びかかろうとすると夢が覚めてしまうのだ
だから夢の中でも啓介には分からない
藤原拓海は男なのか女なのか
このままでは欲求不満で死んでしまう
今日こそはその正体を突き止めてやるぜ
こうして遠征先の峠で今日も啓介は拓海を観察するのであった
「あっついなあ,真夏ですものね」
松本と車の話をしながら拓海が汗を拭う
夜とはいっても真夏なので気温は35度を超える
汗が伝いシャツが背中に張り付いて気持ち悪い
いつも涼しげな顔をしている拓海もさすがにこの猛暑にはまいっているようだ
そんな拓海を嘗めるような視線で見つめる啓介
「可愛いよな,拓海」
滝のように汗を流しているのは暑さだけではないようだ
拓海を見るだけで興奮のあまり下半身が熱くなってしまう啓介は男盛りであった
そんな時,衝撃の事件が起こった
「あ−っあちいっもう限界」
そう言うと拓海がシャツをがばっと脱いでしまったのだその行為は男だったら何にも問題はない
拓海も男なのだから何も問題は無いはずなのだが
きゃああああ−っ
峠に黄色い悲鳴が上がる
拓海の素肌に悩殺されたギャラリ−がばたばたと股間を押さえてうずくまる
鼻血を出しているのは猛暑のための日射病によるものではないだろう
無駄な贅肉のない肢体
胸はないのに果実のようなピンクの乳首
ああ,なんて目の保養なのだろうか
ギャラリ−だけでなくメンバ−も鼻血を押さえるのに一苦労
そんな中,啓介は目を血走らせて食い入るように拓海の裸体(上半身)を激視していた
そして一言絶望的に呟く
「・・・胸がねえ」
これで拓海が男だということが証明されてしまった
あまりのショックに太刀打ち出来ない
もっとショックなのはそれでも拓海の裸体に反応してしまう啓介の下半身
何故だ,何故なんだ,俺の息子は何故こんなにびんびんなんだ−っ
啓介の悲痛な叫びが峠に響く
その時である
啓介はある疑惑に思い当たった
「もしかしたら,拓海は両性具有なんじゃあねえか?」
医学書で昔読んだことがある
昔,怪しい三流週刊誌にも載っていた両性具有
「そうだっそうに違いねえ」
藤原拓海は少年でありながら少女でもある両性具有に違いない
でなければこの高橋啓介の息子がこんなに反応する訳がないのだ
藤原拓海からは確かに雌のフェロモンを感じる
あらたな疑惑に啓介は希望の光を見いだした
「ふふふっ拓海,お前の秘密は俺が暴いてやるぜ」
高笑いをする弟に兄が背後から一言
「いい加減認めたらどうだ,自分がホモだということを」
兄の言葉が繊細な啓介の心に突き刺さる
「違う−っ俺はホモじゃねえ,拓海は両性具有に違いないんだ−っ」
駄々をこねる啓介
そんな啓介をあきれた顔で見るダブルエ−スの片割れが一言
「ほんとに啓介さんってドリ−マ−なんだから」
こんなドリ−マ−がダブルエ−スの相方で大丈夫なのだろうか?
ちょっと心配な藤原拓海18歳,ばりばりの男子高校生であった