[ウエストラブラブクリニック]

 病院に担ぎ込まれた史浩は結局胃潰瘍で入院を余儀なくされた
手術を受け,麻酔でぼんやりしながら史浩は思う
「ああ,この絶大な疲労感はなんなんだ」
手術や痛みよりもその前のダウンヒルで体力も精神力も使い果たしたような気がする
「赤城道路を走らせたら群馬一いや日本一のドライバ−である涼介
,同時に超エリ−トで優秀な医者の卵」


なんだったんだ?あの診断は?
史浩の心に疑問が沸いてくる
あれは誤診だったのだろうか?
それにしてはやけに自信満々だった涼介
おまけに助産婦拓海付き
史浩の心に医者に対する不審が沸き上がる
 その時,往診の医者先生がやってきた
「史浩君,もう大丈夫だよ,単なる胃潰瘍だったからね,君一人の体じゃないんだからもっと大切にしないと」
ぴき−んっ医者の言葉に凍りつく史浩
「先生,教えてください,本当に俺は胃潰瘍なんですか」医者はすっと目をそらしながら答えた
「ああ,君は胃潰瘍だ」
「先生っせんせい−っ本当のことを教えてください,俺の体はどうなってしまったんですか−」
「いけないっ興奮しては体に触るっ今は体を直すことだけを考えるんだよ」
医者の言葉にますます疑問が膨らむ史浩
こうなるともう誰にも止められない
「俺は本当に胃潰瘍なのかっうおおお−っ誰か教えてくれ−」
「だから胃潰瘍だと言っているでしょうが,落ち着いて,史浩君」
 妄想に取り付かれる史浩
 胃潰瘍はなかなか直りそうにない

それにしても史浩,      苗字,まだ出てませんね,可哀想

 

 

 

[埼玉ラブラブモンスタ−]
   いい加減このセンスの悪い題やめろって


 その男は自慢げに宣言した
「プロジェクトDの2人のエ−スとバトルしたことがあるっつうのが俺の自慢だからな,あいつらが埼玉に来るとあっちゃほっとくわけにはいかねえよな」
おおおっ,回りの埼玉ギャラリ−がどよめいた
「お前あの拓海ちゃんとバトルしたことがあるのかよ」
「すげえっすごすぎるぜ」
皆が彼に注目する
ふふんっと男は自慢げに鼻を鳴らした
 もう懸命な皆様はお分かりになったであろう
彼の名は秋山渉
藤原拓海とツ−ショットでバトルしたことに誇りとプライドを持っている拓海マニアである
「俺は拓海ちゃんと二人っきりで正丸峠をバトルしたんだぜ」
その言葉にまたもギャラリ−が鼻血を吹いた
「あの峠は格好のデ−トスポットなんだよな」
「うううっ拓海ちゃんとツ−ショット,たまらん」
渉は遠い目をして思い出を回想する
「あの時拓海はまだ18歳,なにも知らない子供だった」何時の間にか拓海と呼び捨ての渉
「まだ自分の魅力に気がついてもいない清らかな存在,俺と拓海は一目あったときから通じるものがあった 何故なら俺達は同じハチロク仲間だったからだ」
思い出は美しい,渉の思い出の中の拓海はいつまでも18歳なのだ
「俺はレビンであいつはトレノ,レビトレカップル,俺達は急速に接近していった」
回りは固唾を飲んで渉の話に聞き入っている
「ある時,拓海はこの埼玉で二人っきりで会いたいといってきた,それがあの思い出のバトル」
「オオオ−ッ拓海ちゃんの方から誘ったのか」
「すごいっすごすぎる」
男としての株を上げる渉
「拓海は初めてだから震えていたよ,でもあいつはゲロもせずに健気に俺についてきた」
そのことを思い出すと胸がいっぱいになる渉
「5回だったかな,俺達は限界までやりまくった,あんなに燃えたのはあれが最初で最後だろう ふふふ,
あの狭い峠,草むらの中で,夜空の星に見守られながら俺達はお互いを確かめあったんだ」
うっとりと自分に酔っている渉 ちょっとやばい
 その時,うっとり渉の後頭部に鉄拳が入った
げふっもんどりうつ渉に空手チョップと膝げりが入る
「てめえよた話作ってんじゃねえ」
誰だ?っ話はこれからがクライマックスなのに
渉がばっと後ろを振り向くとそこには青筋を立てた高橋兄弟とプロジェクトD
「最近この手のやからが多いんだ,ダブルエ−スと知り合いだとか拓海とバトルしたことがあるとかいう嘘を言う奴が」
涼介の言葉が渉を断罪する
「嘘だったのかよ,今までの話は」
周囲のギャラリ−の視線が冷たく渉に突き刺さる
「うっ嘘じゃねえ,拓海,本当だよな」
高橋兄弟に守られるようにして立っている拓海に向かって渉は必死に叫んだ
拓海はきょとんとした顔で答える
「はい,渉さんの言ったことは本当ですよ」
ぎょええええ−っ
周囲のギャラリ−もプロジェクトDのメンバ−も高橋兄弟も皆怒りに我を忘れた
「おのれゆるせん,この前髪男,せいばいしてくれる」
「貧乏タ−ボのくせに拓海ちゃんに手をだすなんてふてえ野郎だ」
ぼこぼこにされる渉の悲鳴が埼玉に響く
それを遠くに聞きながら拓海は頭を捻った
「うん,やっぱり渉さん嘘はいってないもんな,ちょっと脚色入っているけど」
でもみんななんであんなに怒っているんだろう?
今一つ状況が理解出来ていない拓海,19歳,うぶな童貞であった