藤原拓海、18歳男子高校生、秋名のハチロク
高橋涼介23歳、群馬大学医学部主席、赤城の白い彗星

こんな二人は峠で出会い、プロジェクトDで友好を深め
そしてプロジェクトが終了すると同時に入籍を果たした、
これはそんな二人の新婚さん日記である、

 

[同棲の心得1]

 高橋涼介は超ご機嫌であった
彼は今,群馬大学の実験室でお昼ご飯の真っ最中である目の前にあるのはカップ麺 黒い豚カレ−
うきうきとしながら3分間を待っている涼介に同僚はおびえながら声をかけた
「おっ高橋,今日はカップ麺なんだな」
この高橋涼介という男程カップ麺の似合わない男もいないだろう
フレンチフルコ−スかイタリアンをオ−プンカフェでという顔をしていながら黒い豚カレ−
同僚達は密かに頭を押さえる
しかし確か高橋涼介はこの間愛妻弁当を持ってきた筈
それを幸せそうに咀嚼する涼介の姿に大学中の女が泣いたことは最近一番の事件だ
「確か高橋って愛妻弁当持ってきてたよな,なんだ,彼女もうギブアップかよ」
一人の命知らずが声をかける
涼介は漆黒の髪を掻き上げてふっと笑った
「新婚ですから」
し−んっ
あっそういう事ですか
誰もが無言の中,涼介は時計を見上げる
「三分たったな」
そして蓋をあけるとずるずると美味しそうにカップ麺をすするのであった

 そう,同僚の指摘通り涼介はまだ2回しか弁当を持ってきていない
しかし涼介は満ち足りていた
もっともっと美味しいものを食べさせてもらっているからである
しかしまだまだ足りない
拓海もようやくエッチに慣れてきたばかり
愛の深遠を極めるのはこれからなのだ

 チュルルッズズズッ
カップ麺の汁まで飲みきって涼介は同僚に一言
「実験を始めようか,俺は今日残業が出来ないからな」新婚だからな,と言外におどしを含ませた

 ふるえあがる同僚
 進む実験レポ−ト

 こうして高橋涼介は驚異のスピ−ドで所用を片づけると5時ぴったりに帰っていった
愛の巣へと

 新婚に残業は禁物である