[A PERFECT WORLD]

 

「こういう事はしちゃいけないんです」
 ある日,夏も近い穏やかな午後の事であった。
 ここは涼介の部屋。
 20畳はあろうかというその部屋は持ち主の性格を表わすかのように奇麗に片づけられている。
 この部屋の主はまだ17歳だというのに部屋からは子供の匂いがしない。
 本棚に並んでいるのは医学系の蔵書ばかり
 飾り気の無い部屋は物に執着しない主の心情が見て取れる。
 だが,そんな殺風景な部屋に彩りを添えている存在があった。
 誰もが天使だと誉めたたえる可憐で幼げな容貌の子供が部屋にいる。
 そして子供はおずおずと同じ言葉をもう一度言った。

 

「こういう事はしちゃいけないんです」
 中学一年にあがった愛しい涼介の恋人は突然こんな事を言ってきたのだ。
 中学生とは言っても声変わりもまだの幼い恋人は涼介の宝物である
 大切に腕の中で守り,世俗からは遠ざけていたのだが。 涼介は柳眉を密かに上げた。
「誰かに何か言われたのか?」
 その声は穏やかであったがこちらの反論を許さない響きがある。
 17歳という年齢でありながらすでに完成された男としての体格を知性を涼介は持っていた。
 誰もが憧れるカリスマ的存在,その美貌と頭脳,財力は人を傅かせるには十分である。
 支配するものの声音で涼介は問いかけた。
「何を言われたの?拓海」
 拓海は俯いて首を振った。
「誰にも言われていません」
「ならば何故?」
「・・・」
「拓海,答えなさい」
 涼介の声に少し怒気が交じる。
 あまりの恐ろしさに涙ぐんでしまった幼い恋人の姿を見て涼介は深くため息をついた。
 そして立ち竦んでいる拓海の腕を取り自分の胸へと引き摺り込む。
「誰に吹き込まれた?」
 それは命令であった。
 主人である涼介の言葉に拓海は答えなければならない。
 嘘をつくことなど思いもつかない無知で無垢な子供は目をうるうるさせながら小さく呟いた。
「だって,こういう事は好きな人としなければいけないんです」
 その呟きに涼介は眉を潜めた。
 多分,拓海は学校で小賢しい同級生に言われたのだろう。
 性に対して興味を持ち始めた同級生に猥談でも聞かされたのに違いない。
「俺は拓海が好きだよ」
 抱きしめながら涼介の手が淫猥に動き始めた。
 純白のシャツの上から掠めるように乳首を弄るとすぐに拓海のそれは赤く色づき尖ってくる。
「拓海も好きだろう」
 これが,と暗に含ませてこりこりと立ち上がった乳首を指の腹で弄る。
「あっあんっ,やあぁ」
「好きだろう,ここを弄られるとたまらなくてもじもじしちゃうんだよね」
 可愛いよ,といいながら後ろから抱きしめて涼介は拓海の乳首を可愛がることに集中した。
「あんっあぁんっでもっあっこういう事は女の人とやるんだってっああぁ」
「拓海は女よりも奇麗だし可愛い」
 ぺろりっと項を舐められて拓海は小さな悲鳴を上げた。
「りょっ涼介様にはお似合いの方がいらっしゃいますっんっやあぁ」
 拓海は涼介の悪戯に身を震わせながら言葉を続けた。
「もうこんな遊びは終わりにしないとっあんっ,涼介様,あんっはあぁ」
「ここをこんなに腫らしておきながらそんな事を言うとは,拓海は悪い子だね」
 ふいに冷たい声が背後からして拓海は身を固くした。
「ひっひいぃっ」
 きゅっと右の乳首を痛いくらいに抓られる。
 立ち上がり敏感になったそれには強すぎる刺激だ。
「駄目っだめぇっりょうすけさまぁ」
「悪い子にはお仕置が必要だな」
 こりこりと乳首を指の腹で潰しながら涼介は拓海の太股へと手を伸ばした。
「今日はどれくらい我慢出来るか試してみようか」
「いやっやあぁっやめてっ涼介様っそれだけはっいやぁ」
 涼介の意図を悟った拓海が身をよじって逃げようとする。
 だがそれを許す涼介では無かった。

 

 

「はあぁっあんっやぁ」
 甘い可憐な喘ぎ声が部屋に響いている。
 まだ昼下がり,窓から漏れる太陽の光の下,拓海は涼介のベットに横たえられていた。
 その両手は上に括られベットの端へと繋がれている。
 足は大きく開かれ持ち上げられていた。
 だが衣服は乱れた様子は無い。
「あんっああぁ,,りょうすけさまぁ」
 可憐だが,男を誘う喘ぎ声で拓海は涼介を呼んだ。
「可愛いよ,拓海」
 涼介は拓海の足を持ち上げ,その下半身に唇を寄せる。
 半ズボンの上から息を吹きかけるように囁いてあげると拓海の腰が大きく揺れた。
「見られているだけで感じちゃうんだ」
 拓海は淫乱だね。
 くっくっと涼介の笑い声がする。
 先程からずっとこうしてなぶられている。
 主人に恥ずかしい所を見られているという羞恥心と罪悪感が快楽に従順な体を更に敏感にしてしまう。
 恥ずかしくて感じてしまい拓海の腰が左右に揺れた。
「りょうすけさまぁ」
 甘い誘いが部屋に木精する。
 拓海の足がおずおずと涼介の頭を挟み込んだ。
「りょうすけさまぁっあっああぁ」
「舐めてもらいたいのか?」
 涼介の言葉に拓海は恥ずかしそうに頷いた。
「言葉で言うんだ,俺に何をしてもらいたいのか」
「あっああぁっんっ」
 舐めてほしい。
 涼介様の舌で拓海を可愛がってほしい。

 

 いっぱい舐めて。
 舌で弄って。
 触って,しごいて。
 とろとろになるくらい舐めほぐして。
 何も考えられなくなるくらいに気持ち良くして。
 はしたなくもそう叫びそうになる。

 幼い頃からそうされて,そうされることが当たり前だったから拓海は涼介に愛されないとイくことが出来ない体になってしまっている。
 幼い体は快楽に弱い。
 主人である涼介に仕込まれた体は拓海自身の意志に反して快楽を欲しがってしまう。

 これはいけない事なのに。
 してはいけない事なのに。

 主人に舐められ愛される事を欲して拓海は言ってはならない言葉を口にしてしまう。
「舐めてくださいっ,ああんっお願い」
「どこを?」
 楽しげな声が聞こえる。
 分かっているくせにいつも涼介様は拓海に言わせるのだ。
 いやらしい言葉を言わせるのが好きなのだ。
 はしたなく主人を求める拓海を見たいのだ。
「うしろぉっっああんっ」
「前じゃなくてアナルがいいのか?」
「うんっうんっおしりが気持ちいいのぉ,」
 いつもみたいに主人におしりを舐め回し蕾に固く尖った舌を入れてかき回してもらいたい。
 それは前を吸われるよりもずっと気持ち良い。
「どうして?おしりを触られるのが気持ちいいいのかな」
 涼介様は嬉しそうに聞いてくる。
 その答えは涼介様によって教えられた。
 答えを言えば拓海の好きなだけ舐めて吸って弄ってくれる。
 でも言わなければそのまま何時間でも放置される。
 拓海は全身を震わせながら小さな声で答えた。
「好きっあんっ涼介様が好きだからぁっ」
「拓海は俺を愛しているんだね」
 だからこんないやらしい事をされて感じてしまうんだろう。
 そう言われて拓海は激しく頷いた。
「拓海はぁっあっ涼介様を愛しています,だからぁっおしり触ってくださいっ」
 涼介が笑う気配がした。
 そして次の瞬間,ズボンをずりおろされ蕾にキスをされる。
「拓海がもう少し大人になったらここで愛しあう方法を教えてあげる」
 それまでは唇で我慢するんだよ。
 そう言いながら主人の舌がぬるりと蕾に入り込んできた瞬間,拓海はあまりの快楽に幼い精をほとぼらせた。

「拓海の精液は甘いね,とても美味しいよ」
 蜜を丹念に舐め取り,涼介は指と舌で蕾を潤していく。
 近い将来,ここで繋がりあうための準備をするために。「拓海の蕾はこんなに小さいからね,こうして徐々に慣らしていこう,大丈夫,拓海はいい子だからすぐにここで俺を受け入れられるようになる」
 主人の股間にはいきり立ち先走りの蜜を流している雄がある。
 それは我慢強く待ちこがれている。
 恋人が大人になる日を。
 自分を受け入れられる位に大人になる時を。
 昼下がりの午後。
 くちゅくちゅと淫猥な音が部屋に響く。


 これは二人だけの秘密
 二人だけの秘密の関係。