「caos 混沌」
こつこつと床を歩く軍足の音が密室に響渡る
藤原拓海は直立不動のまま,制裁を待っていた。
「君は規律を乱した,この罪の重さは分かっているね」声の主に顔を向ける事は許されない
拓海は正面を真っ直ぐ見据えたまま答える
「分かっております,閣下」
男が手にしている鞭の先が頬に当たった。
「それが理解できていながらどうしてあんな事をしでかしたのか」
答えは出ているのに男は拓海をいたぶっている。
「処罰は覚悟しております,閣下」
男の楽しそうな声が耳元で囁かれる。
「私が軍法会議で助言しなかったら君は今頃銃殺刑だったのだよ」
感謝してもらいたいものだ,と男は笑う
拓海は唇を噛み締めることしか出来なかった。
男の言うとおりである
もし,閣下が拓海の身柄を引き取ってくれなかったら今頃は独房の中で最後の時を待っていたであろう。
「服を脱いで後ろを向きなさい」
優しい声だが有無を言わさぬ命令である
拓海は震える手で軍服を脱いだ。
恥ずかしい,この男の前で素肌を見せるのは
言われた通りに後ろを向いて書斎机に手を付いた。
「いくら私が助けたといっても罰を与えなければ皆が納得するまい」
背中に熱い傷みを感じて拓海がのけ反った。
男は手に持っていた鞭で数度拓海の背中に傷を付ける。透けるように白い背中に赤い筋がやけに淫靡であった。「あっふうっひっ」
声を上げる事は許されない
噛み締める唇から血が溢れた。
「8,9,10回,今回はこの程度にしておいてやろうさあ,下も脱ぎなさい」
息も絶え絶えな拓海に男は命令する
それでものろのろと下着を脱ぎ捨てる。
「こっちを向くんだ,藤原二等兵」
命令されると従わなければいけない。
どんなにそれが屈辱的な事であったとしても
男の鞭が拓海の下肢を撫でてくる。
「あっあんっはあぁ」
必死で声を殺そうとするが漏れてしまうのを押さえられない。
男は鞭で拓海の先端を撫で上げた。
「打たれて感じたのか,いやらしい体だ」
なめし革の鞭による愛撫で拓海の果実は蜜を流し始めていた。
「ひいっあっいやぁ」
男の鞭が蕾を弄くってくる。
突いて,先を潜り込ませて小刻みに揺すられて拓海は悲鳴を上げた。
「ここは初めてと見える,この体でよく今まで軍隊の中で無事だったものだ」
確かに入隊した当初,拓海はあらゆる男の標的となった。
しなやかな少年の肢体は男ばかりの軍隊には毒となってしまう。
そんな輩を拓海は寄せつけないように気を配っていたし実力行使に出る者にはそれなりの態度で示した。
小猫だと思っていた拓海の実力に男達は遠巻きに,物欲しそうに眺めるしか出来ない。
だがここに来て付け入る口実を与えてしまったのだ。
閣下が拓海の事を嘗めるように見ている事に拓海は気がついていた。
だから決して近寄らなかったのに
「あっあん,ひいっあっふう」
胸の飾りを鞭でいじられるとそれはぷくっと立ち上がって男をそそってくる。
「さぞや懸想する者も多かっただろうな」
よく耐えたものだ,と男は笑って唇を寄せてきた。
「ああ−っひいいっ」
初めての男の愛撫は巧みで拓海の体をとろけさせる。
胸の飾りを丹念に押しつぶしながら男は何か胸のポケットから取り出して蕾に塗り込めた。
「なっなにっいや」
嫌という事は許されないのに拓海は未知への恐怖に怯えてしまう。
「花街で譲り受けたものだ,下賤の者が使うものだが仕込む時には効果がある」
媚薬を塗り込められた秘所が滑った音をたてた。
「ひっいやっ熱い」
ぐちゅぐちゅと指が奥をかき乱す
「いい体だ,もう薬が聞き始めてほどけている」
奥の内壁が指に絡みついていくのを感じる
すさまじい快楽であった。
「あっかゆいっ奥がっあん」
むずがゆい何かが迫り上がってくる。
男はまだ白手袋をしたままだというのに,その生地の感触にすら拓海は反応してしまうのだ。
「恐いっあんっこわい」
自分の体がどうなってしまうのか分からない。
男に触れられた部分から別の生き物に変わってしまう。「恐いことはない,力を抜いて」
命令は耳元で囁かれる
カシャっとベルトを外す音と共にものすごい激痛が襲ってきた。
「ひいい−っああっ」
軍法会議の時の糾弾にすら涙を見せなかった拓海の矜持が崩されていく。
「きついな,まだ薬が十分ではないのか」
男は拓海の腰を抱えると書斎机の上に押し倒した。
そのまま大きく腰を突き入れる。
「やあっいたいっああっいやぁ」
「大丈夫,すぐに慣れて男を欲しがるようになる」
断言する男を心底憎いと拓海は思った。
しかし体は拓海の意志に反して雄をくわえ込み喜びに蜜を流している。
ぬちゃぬちゃっという湿った音が響く
あれほど違和感のあった蕾が雄に犯されてほどけていくのを押さえられない
「あっはあぁっ閣下」
男が奥の,拓海のもっとも感じる部分を探り当てて貫いてきた。
「閣下では無い,涼介と呼びなさい」
そんな事,拓海の身分で許されない。
「でも,閣下」
抗議の声を上げようとした拓海は奥の一点を男の先端でえぐられて身を震わした。
「これは命令だ,二人きりの時は涼介と呼ぶんだ,わかったね」
「あっああんっ涼介様」
「涼介様じゃない,涼介と呼べ」
注送が激しくなる
「あっりょうっりょうすけさんっあっもう」
朦朧とした意識の下でも涼介の事を呼び捨てにできない拓海に男は苦笑する。
あまり責めても可哀想なのでさんづけで許してやることにした。
「いい子だ,拓海,もっと足を広げて」
薬が完全に利いているのか拓海は抵抗もなく全てを涼介に見せる。
「とろとろにここが濡れていてまるで女のようだな」
自分の男が入ったままの拓海の蕾を涼介は指で広げた
。「ほら,蜜が溢れ出してきた,気持ち良いだろう」
「あっあんっきもちいいっもっとぉ」
腰を揺すりながら涼介の雄を欲しがる拓海に満足した涼介は望む物を与えてやった。
この国は軍事政権が樹立してからすでに半世紀が過ぎようとしている
国民の誰もがなんらかの形で軍事に携わり,生まれたときから愛国心と忠誠を植えつけられていた。
男子は18歳になると徴兵制度で皆軍隊に入る仕組みだ。
藤原拓海も18歳の誕生日に軍隊の門をくぐったのであった。
軍隊での生活はプライベ−トなどありはしない
その事がとても苦痛だった拓海だがそれも一カ月で慣れた。
反骨心の強い拓海が慣れることが出来たのは一重に幼なじみも同じ隊に配属されていたからであった。
武内いつきとは生まれた時からのつき合いで,辛い訓練も一緒にいたから乗り越えられたのだろう
だから,拓海は規則を破るとわかっていてもいつきを見殺しにすることが出来なかった。
何度目かの戦闘,そのうちの一つでいつきは重大なミスを侵した。
拓海もいつきも戦闘機乗りに配置されての出撃
戦闘中にいつきは敵のど真ん中に取り残されてしまったのだ
周囲の確認をしなかったいつきの落ち度はある
全ての人間がいつきを見殺しにし,見捨てようとしたが拓海は隊列から離れると単独行動でいつきの救出へと向かった。
拓海の戦闘技術は天才と呼ばれる域にある。
天性の才能を持ったパイロットはいつきを取り囲む敵を全て撃沈した。
本来なら英雄と称されるところであるが軍隊での規律違反は重罪である
規律を一人が乱しただけで隊全体が窮地に陥れられることもあるのだから
戦闘機から降り立った拓海を待っていたのは懲罰委員会のメンバ−であった。
拓海は自分の才能に溺れてパフォ−マンスを行なったのだという糾弾に拓海は言葉を返せない。
このままでは銃殺が決定するっという時にその場で一番地位の高い男が拓海の身柄を引き取ると申し出たのであった。
いままで黙って傍聴していたのは拓海がいたぶられている姿を見るためで初めから男は助命を嘆願するつもりだったのであろう。
悔しいがこの男に助けられたのは事実だ。
今の拓海の生命は男に委ねられているといっても過言ではなかった。
総合司令部元帥の名を持つ男は高橋涼介という名前である。
代々軍幹部を多くだしている高橋一族の跡取り
所詮は甘やかされたおぼっちゃまだと思っていた上層部は涼介の入隊と共にその考えを変更せざるおえなかった。
涼介はありとあらゆる戦略と戦術を駆使してレジスタントに押され気味だった局面を軍有利に導いたのであった。誰もが認める才能と鋭気
国民はこの若き英雄に熱狂的に指示を送った。
世論が動けば軍上層部も黙ってはいない
涼介は異例の早さで昇進を繰り返し,23歳という若さで最年少の元帥の地位に上り詰めた。
元帥は現在三人で構成されておりそれよりも上の地位は用意されていない。
涼介以外の二人は老齢の名ばかりの元帥といっていいだろう。
今の涼介に命令し,止められる者は誰もいなかった
「あっああんっ涼介さんっもう許して」
書斎に少年の淫靡な声が密かに聞こえる。
衣づれの音が情事の最中であることを表わしていた。
「ほら,もう少しがんばってご覧,出来るだろう,ここを緩めて」
靴の先で蕾を弄られて拓海は嬌声を上げる。
高橋涼介は椅子に座ったまま床で嬌態を見せる拓海を見つめている。
「拓海は俺の銃卒になったのだからね,命令には絶対服従だよ」
かっと羞恥で拓海の頬が染まる
しかしあきらめたかのように力を抜いて奥に埋め込まれているものを押し出そうとした。
内壁が離すまいとするのが分かる
今日は涼介によって蕾に男の証を模した玩具を入れられていた。
それは涼介の物より大分小作りに出来ていたので拓海はなんなくそれを飲み込んでいく
かえって中途半端な大きさが物足りなくてうずいてしまうくらいだ。
「小さくても性能はいいんだよ.試してみるかい」
ブ−ンっと羽音のようなモ−タ−の振動が奥を蹂躙していく。
「あっはあっふっあんっあうっ」
両手は後ろで拘束されているため自分を慰めることすら出来ない。
助けられるのは涼介のみ
この酷い仕打ちをするのも涼介ならば助けてくれるのも彼しかいない
「ふふ,もう蜜がこぼれているよ,そんなにこのおもちゃが気に入ったのかな」
涼介の靴先が拓海の果実をなぶっていく
それについ腰を擦り寄らせてしまう浅ましい自分に拓海は嫌悪する
「あっ気持ち良い,もっとぉ」
精嚢を突かれるととろりっと蜜が靴を汚す。
「本当に可愛いね,拓海は躾がいがある」
涼介がベルトを外すと合図してきた。
取り出された物の大きさに拓海が目を見開く。
そっと唇を寄せてその大きさを味わっていく。
「いいね,舌の使い方が上手になった」
太くて固い男の雄を口に含むと拓海の下肢にも甘い痺れがおこる
涼介がスイッチを最強にしたらしい
上の口に男を含み,下には擬似男根をくわえ込んで拓海は快楽に身を委ねる
「あっもっとぉっ欲しい,これが欲しいのぉ」
泣いて男を欲しがる拓海に涼介は優しく微笑みかける
悪魔がいるならきっとこういう顔をしているのだろう
拓海は快感にむせびなきながらそっと考える
精錬な顔をして,この男が何を考えているのか見当もつかない。
興味をひくおもちゃを手に入れたと思っているのだろうな,と拓海は自嘲の笑みを漏らした。
そんな拓海の態度が気に入らないらしく涼介は無理矢理男根を口から引き抜くと後ろの蕾のおもちゃを取り上げて自身を突き入れた。
突然の熱い本流に拓海はのけ反る。
「俺と一緒にいるときは他の事を考えるなと何度いえばわかるんだ」
ぐいぐいと押し入れられて快感で意識が飛んでしまう
「どうした,いつものように泣いてみろ」
涼介は拓海が泣き叫んで欲しがるまで決してイこうとはしなかった。
「あっふうっあんっりょうっりょう−」
何故こんなに冷たい男なのに体は熱いのか
涼介の思惑通り拓海は泣き叫んで腰を揺すった。
拓海は無理矢理涼介付にされて調教を繰り返し受けてきた。
慣れるまで媚薬を使われ涼介という男を仕込まれる。
今の拓海はもう涼介無しではいられない程淫乱な体となってしまっていた。
涼介が軍の用事で3日も家を開けると気も狂わんばかりの飢餓感が襲ってくる
自慰することすら許されなかった。
涼介が命じれば拓海は従うしか道は無い。
拓海の様子は部下が逐一見張っていてどんな遠方にいても涼介の耳に入る仕組みとなっている。
早く帰ってきて。
俺を抱きしめて愛して
拓海は夜泣きする体を持て余しながら寝むれぬ日を過ごすことが月に何度かあった。
そして涼介は帰ってくると拓海が失神するまで痛めつけて愛してくる。
それが嬉しい。
何故,拓海は自分の心が分からなかった。
昼の日差しを浴びながら涼介の上に馬乗りにさせられて拓海は雄を貪っていた。
「拓海の下のお口は欲張りだね,俺をもっと食べたいって駄々をこねているよ」
暗に内壁の動きをやゆされて羞恥が更に快感をあおる。
腰をすりつけて,上下に動かして涼介を翻弄する拓海はもうそこいらの娼婦などより余程テクニックを持っていた。
「寝技だけで拓海は諜報活動が出来そうだね,どんな精錬な政治家も虜に出来る」
涼介の言葉に拓海が強ばった。
まさか,この男はそれが目的で拓海を調教したのだろうか
そんな拓海の考えを読み取って涼介は笑う
「まさか俺が他の男に拓海を抱かせるとでも思っているのか,馬鹿だな」
ぐっと腰を突きいれられる
「この体は俺だけの物だよ,分かっているね,拓海の命は俺が貰い受けたのだから」
「あっふうっあんっいやぁ」
「他の男になど渡さない,拓海は俺だけを知っていればいいんだ」
涼介の巧みな腰捌きに拓海はうっとりと倒れ込む
そのまま動きを合わせて快楽に溺れていく拓海の淫らな事といったら筆舌しがたい
「上物だとは思っていたがまさかこれ程とは嬉しい誤算だな」
「ひっあんっりょうっもっといれてぇっぐちゃぐちゃにしてぇ」
性に対して禁忌を持たない体に仕込んだのは涼介である。「愛しているよ,拓海」
耳元で繰り返し囁きながら涼介は拓海をかき抱いた。
拓海が逃げられないもう一つの理由があった
涼介は拓海の助命だけでなくいつきの刑も軽くしてくれたのだ
もし,拓海が逃げれば涼介はいつきを殺すだろう
拓海が涼介付となって三カ月たった。
今晩は軍主催の舞蹈会に同行を命令されている。
「これはすばらしい一品をお持ちだ,さすが元帥閣下はお目が高い」
次々に涼介の元へこびへつらった軍人が寄ってくる。
美辞麗句をいった後,横の拓海に気がついて皆一様に羨ましそうないやらしい目つきをした。
今日の涼介の目的が分かると憤怒と羞恥で拓海は焼け尽くされそうになる
こういう席の嫌いな涼介が何故,わざわざ拓海を連れて出席したのか?
今晩は拓海のお披露目だったのである
衆人に拓海という珠玉の宝石を見せびらかして,拓海は涼介の所有物なのだとわからせるための行動
頬を真っ赤に染めて俯く拓海の姿が男を誘ってくる。
「本当に羨ましい,もし飽きることがありましたら私がぜひ貰い受けますので」
といって両手を揉んでいる軍人は拓海の昔の上官であった。
涼介は拓海の腰に手を回して笑って答える
「あいにくと,これに飽きることはしばらくな無いと思いますので」
「これは,元帥閣下はご執心のようだ,まあこれ程の美しさはこの舞蹈会の淑女にも見られないですからな」
階級の高いであろう軍人のやひた声に涼介は微笑を浮かべるだけであった
何故かその瞳は味方である軍人をさけずんでいるかのように拓海には写る。
この人が何を考えているのか知りたい
初めて拓海が涼介に関心を持ったのはこの時である
涼介の手が背中に回る
「用は済んだ,帰るぞ」
「はい,閣下」
涼介と拓海は華やかな舞蹈会から穏やかな我が家へと向かうのであった。
一時の平和,時代は激動のうねりをあげて二人を押し包もうとしている