未知との遭遇

 ここは秋名のとある峠。
 藤原拓海は毎日豆腐を秋名レイクホテルまで配達している。
 今日も拓海はいつもの通り配達を終えて軽快にダウンヒルをドリフトしていた。
 その時である。
 突然まばゆい光りがハチロクを押し包んだ。
「なっなんだっなんなんだ」
 ぎょうてんする拓海を乗せたハチロクは何かに吸引されるように空に吸い上げられた。
「ひっひええええっユ−ホ−だああぁ」
 拓海がハチロクの窓を見上げるとそこにはなんとあの有名なアダムスキ−型の円盤が待ち構えていたのであった。


 あまりの恐怖に気絶してしまった拓海。
 目が覚めるとそこは円盤の中であった。
 拓海は手術室のようなところでベットに縛り付けられている。
 そして傍らには宇宙人が・・・
「こんにちわ,高橋星人です」
 地球人そっくりの2体の宇宙人が拓海をのぞき込んでいた。
 これは,この宇宙人達は地球人を擬態しているのであろうか?
 あまりのも地球人そっくりっと言うかそのもの。
 ドッキリカメラ?
「我々はRX−7星からやってきた高橋星人,コ−ドネ−ムはサバンナ涼介とアンフェニ啓介」
 宇宙人は自己紹介してくれる。
「あ,地球人の藤原拓海です」
 挨拶は大切なコミュニケ−ションの手段である。
「俺達は遠くマツダ星雲から地球人の生態を調べるためにやってきた。もし地球人が宇宙史上希に見る低能な文明ならば統治しなければいけない」
 やっぱり侵略者.エイリアン
 拓海は真っ青になった。
「君は人類を代表して選ばれた検体なのだ,心して解剖されるように」
 サバンナ涼介はそう言うと片手にメスを光らせた。
 どうやらこの2体の中でサバンナの方が上官らしい。 アンフェニは拓海の服を脱がせ始めた。
「こうやってみると我々RX−7の高橋星人と体系は似ているようだな」
 身体をなで繰り回されて拓海は悲鳴を上げた。
「やだ−っ解剖はいや−」
 その時である。
 天の助けかピコピコと宇宙船の中の時計が鳴り響いた。
「食事の時間だな」
 栄養を摂取するまで解剖はお預けだ。
 その時アンフィニ啓介が不満を訴えた。
「兄貴,またここチュ−ブ型圧縮携帯食料かよ,もう食い飽きちまったぜ」
「なにを言うか,これは栄養価は完璧なのだぞ,俺の理論に狂いはない」
 兄は自信満々であるが弟はぶ−たれた。
「だってこれ不味いぜ」
「神道滅却すれば火もまた涼し,不味いと思って食っているから不味いのだ,愚か者め」
「でもこれ不味いって」
 不毛な兄弟の会話。
「俺さあ,地球来たらすげえ上手いもん食べれるって超期待してたんだよな,地球の食いものって上手いのかな」
 弟が突然縛られている拓海の方を振り返った。
「拓海,何か食べるもの持ってないか?」
 びくっ拓海は震えて・・自然と視線がハチロクのボンネットにいってしまう。
(確かあそこには配達の残りの豆腐が入っていた筈)
 でも宇宙人に豆腐食べさせて大丈夫なのだろうか
 拓海が悩んでいる間に啓介は意気揚々とボンネットを開けた。
 ぷるぷる ゆらゆら
「兄貴,これなんだ?」
 そこには宇宙人が見たこともない白い物体が水に浮かんでいた。
「ちょっと待て,今分析する」
 兄が何やら計器で豆腐の分析を始めた。
 チッチッチッ時計の音がやけに響く。
「わかったぞ」
 兄が唐突に叫んだ。
「これは植物性蛋白質だ,啓介,これは吸収出来るエネルギ−体だぞ」
「・・・豆腐ですから」
 拓海の力無い一言は無視されて二人の宇宙人は豆腐を食べ始めた。
「うわっこれ上手いぜ」
「確かにこれは美味だ」
 どうやら豆腐は高橋星人の口に合ったらしい。
 これは・・友好の兆し
 拓海が希望の光りを見いだした時,食事を終えた涼介が一言。
「では,解剖を始めようか」
「いや−っ解剖はいやぁ」

 

 人間より体温が低いのか冷たい手
 涼介と啓介の手が拓海の身体を這い回っていく。
「では最初に体温を図ろうか」
 とりだしたのは怪しげな計器とコ−ドの付いた電子体温計。
「やっやだあぁっなにすんだよ」
 拓海は驚いて跳ね上がった。
 涼介はその体温計を突然,そのなんというか拓海のおしりに入れてきたのだ。
「直腸が一番検温しやすいからな」
「あっああっあん」
 そんな,くりくり回さないで!
 拓海は真赤になって屈辱に震えた。
「おっ兄貴,赤くなったぜ」
「本当だな,それにここも赤くぷっくりしている」
 涼介は変化のあった拓海の胸の果実を調べ始めた。
「やんっやだぁっそんなとこ弄っちゃいやぁ」
 宇宙人のくせに,なんてテクニックであろうか。
 つねったりさすったり撫でたり。
 兄弟は二人かかりで大サ−ビス
「あああっあんっ」
「そろそろ時間だな」
 涼介は体温計をくりっと動かした。

「ああああっやあぁあっふうぅ」
 あんまりにもあんまりな事だがそのくいっが致命傷となったらしい。
 拓海の幼い果実は宇宙人の蹂躙に耐えられず蜜を放ってしまったのだ。
 それをじっと見つめる高橋星人。
「兄貴,これはなんだ?」
「うむ,ちょっと待て.今分析している」
 ビビビッビビッ
 拓海の蜜(精液)を分析する兄はくわっと目を見開いた。
「わかったぞ,これは動物性蛋白質だ」
「じゃあ食べ物かよ,これ」
「ああ,高濃度の栄養体だ」
「そうとわかれば,いっただっきま−す」
 ちゅるんっちゅくちゅく
 蜜でべったりとしている拓海の果実に宇宙人が吸い付いたからもう大変。
「やだ−っ食べちゃやだ−っ」
 解剖も嫌だが食料はもっといや−っ
 だが拓海の懇願もむなしく涼介の唇が,啓介の舌が動物性蛋白質を求めて右往左往している。
「ああっあんっもうだめぇ」
「おおっすげえ甘くて上手いぜ,兄貴,絶品だな」
「誤算だったな,地球人の動物性蛋白質がこれほど美味だとは」
 ちゅっずずっちゅくちゅく
「いやああっもう出ないのぉ,限界なのぉ」
 こうして拓海は宇宙人に連れ去られて,食料にされてしまったのであった。
 拓海地球人一人で満足したのか,その後地球に高橋星人のアダムスキ−型円盤がやってくることは無かった。
 ありがとう藤原拓海,人類の繁栄は君の犠牲の上に成り立っている。
 我々は君を忘れない。


   ごめん,べたねた