恋とゆうものはどこからやってくるのだろうか
突然ドキドキする感情が芽生えて.その人のことしか考えられなくて,苦しくて甘酸っぱいその思い
恐いような嬉しいような,泣きたいような切ないような不思議な片思い
これが恋なのだろうか
ああ,恋とはなんとすばらしいものなのだろうか
それはどんなバトルよりも人を興奮させる
アドレナリンが放出して体中に力が漲っていく
どちらが勝つのか全く読めないのも面白い
恋の分析はIQ230でも不可能である
高橋涼介,当年とって23歳,群馬医科歯科大学主席,眉目秀麗,才色兼備,人々の憧れを独占して,そのカリスマオ−ラで心を虜にするこの男は走り屋であった
これだけの説明ではこの男のことを語るのは不可能なのでもう少しだけ補足しておこう
高橋涼介,高橋総合病院の長男である 両親だけでなく群馬医学界の期待を一身に背負っている希望の星
23歳という年齢からくるはじけるような若さが眩しい,勉強だけでなくスポ−ツにも武道にも力を入れてきた涼介,文武両道かモット−なので鍛え抜かれた逆三角形の肉体も眩しい
両親の期待通り,顔の作りもス−パ−モデル顔負けのいい男である
「目で殺す」という言葉がこれほど似合う男もいないだろう,目に彼の魅力が集まっているもとは確かであるがその整った鼻筋,シニカルな笑いを浮かべる口元も捨て難い,完璧に整っていると彫刻のようだが涼介の場合,完璧というには少しだけ目が離れていてそれが彼の人間的魅力を引き出している
流れるような黒髪,漆黒のつややかな髪の毛は女たちの憧れの的だ
小さい頃から身に付いたエグゼクティブ臭が女心をくすぐる
シンプルな服装だが見る人が見たらそれがオ−トクチュ−ルであることは一目瞭然
これらの魅力だけで彼の非凡さは分かってもらえるだろう
だがこの男はそれだけでは終わらない
1歳のころから天才の片鱗を見せ始めた
3歳のときには九九を諳んじてみせた
5歳の時にはリストを発表会で披露した
普通の場合こういうパタ−ンは20歳を過ぎれば唯の人,となる
しかし涼介の場合は23歳の今でも天才コ−スを爆走中なのだから恐れ入る
天才とは全てにおいて非凡なのだ
人々はこの男のことを恐れと憧れの意味を込めてこう呼んだ
「赤城の白い彗星」
あまりネ−ミングセンスはよくないがまあ仕方がないので涼介は黙認している
そんな涼介には一人の弟がいた
2歳違いの弟の名前は高橋啓介
兄がそんなに企画違いの男であったとしたら普通,弟が残りかすの平凡な奴というパタ−ンなのだが啓介の場合も大きく企画から外れていた
兄とは別の意味でカリスマ性を発揮する
啓介のカリスマが発揮されたのは生まれて間も無くである
1歳で看護婦の心を掴んだ
3歳で保育園の先生達の心も掴んだ
5歳で幼稚園の女たちの心を掴んだ
そう,なんというかほっておけないような,構いたくなるような,構ってもらいたいような,啓介には人を引きつける強烈な魅力が備わっていたのだ
啓介の回りにはいつも老若男女をとわずに人々が溢れている
啓介の側にいると安心できる
啓介の側にいると自信が沸いてくる
なんとなく居心地がよいのだ
人の心を虜にする不思議な魅力をもった青年 それが高橋啓介
もちろん高橋涼介の弟なのだから顔も体も企画外だ
短く刈り上げた髪を黄金に染めている
それが吊り目の彼の瞳によく似合っている
すっきりとした顔立ちなのだが妙に男臭い
そして鍛えられた逆三角形の肉体
胸元の黄金のチェ−ンネックレスが光っている
それは彼にとてもよく似合っていた
これでは女が熱狂するのも無理はない
もしも女をたらすフェロモンというものが本当にあるのならば,まさにこの男のフェロモンこそナンバ−1であろう
兄とは全然違うタイプの美男子だがやはり兄弟,よく見ると目許の離れ具合など似ているところかある
頭の方は人並み,というかすれすれという感じだがそれがかえって彼の魅力を引き出している
全くタイプの違う二人の兄弟
こんな二人が率いるのが赤城レッドサンズである
赤城レッドサンズ
走りに興味のない人間でも群馬人ならば一度は聞いたことがあるだろう
「クレバ−な走りをする一段が赤城にいる」
「徹底的に最速を追求するプロ顔負けのチ−ムらしい」「見るだけでも勉強になる」
レッドサンズのギャラリ−が多いのは当然といえよう
それに加えてこの兄弟を一目見たいと追っかけが現れるトップモデル顔負けの兄弟なのだ
追っかけの数も半端ではない
しかし高橋兄弟はそんな追っかけなどには目もくれず,最速を追求することに命をかけていた
そう,あの日,運命の出会いがあるまでは
冗談半分の遠征であった
秋名の峠など三流も三流,そんな所で走っている相手などバトルする価値もない
だがこの遠征には別の意味がある
秋名とバトルすることで,赤城レッドサンズが本格的に他の峠の遠征に乗り出したのだということを世間に知らしめるのだ
秋名の次は妙義,武尊が待っている
他県に遠征する前に地元群馬を固めなければ,
それのための第一戦として,このバトルは重要な意味を持っていたのだ
秋名スピ−ドスタ−ズは見るからに雑魚であった
いきなり現れたレッドサンズに対して恐れ,慌ててパニクっている
(つまらないな,結果は見えている)
走る前からそのレベルが見えて,涼介は大きくため息をついた
啓介もそっぽを向いてつまらなそうだ
そんな時であった
運命の出会いがあったのは
あの時のことを思い出すと今でも涼介の胸は大きく高鳴ってしまう
あれを運命といわずして何を運命といえるのだろうか
もし,あの時,涼介が彼を見つけなければ,少年の方に顔を向けなければこの出会い,この恋はなかったのだ
それを考えると涼介は信じてもいない神に感謝したい気持ちだった
あの晩は風の心地よい夜であった
つまらない遠征,見えているバトルの結果にうんざりして,涼介がふと視線をそらせたその先に一人の少年がたっていたのだ
「・・・美しい」
無意識にぼそりっと呟いてしまったのを弟に聞かれなくてよかった
そう,無意識に呟いてしまう程,その少年は美しかったのだ
柔らかそうな春の日溜まりを連想させる亜麻色の髪
全体的に細い,華奢な印象は骨が細いからだろう
特に腰のあたりと項の細さは涼介の手で折れてしまいそうだ
そっと,だがじっくりと涼介はその美しさを堪能した
潤んだ瞳は長いまつげに隠されている
なんと美しい少年なのだろうか
白百合のような可憐さの中にカトレアのような色気を放っている
少年を見ていると怪しい罠にかかったような錯覚さえ覚える
涼介は体が熱くなるのを感じた
少年を見るだけで胸の奥と,男としての雄が頭をもたげてくる
いけない,と思った
初めて会った少年にこんな欲望の視線を向けてはいけない
初めはお互いを知るところから始まるのが正しい恋愛なのだから
だが涼介は自分の脈打つ欲望を押さえることが出来ないその時,ふと少年が視線をあげた
見つめ会う瞳と瞳
一瞬だけ視線が交差する
だが少年の視線はすぐに伏せられて,じっと涼介の足下だけを見ていた
まるで視線をあわせることを怯えるように
その初々しい姿はまたも涼介を虜にする
少年の名前を知りたい,彼の人柄を知りたい
この腕に抱きしめて,キスをして,そして峠に怯える恋人を守ってやりたい
その時,文紘と池谷で話がついたのか周囲が慌ただしくなった
一瞬,涼介の視線が少年から離れてそちらへ向く
そして,横の弟に視線を走らせて涼介は凍りついた
弟は頬を赤く染めて,ある一点をじっと見つめていたのだから
その視線の先には先程まで涼介を虜にしていた少年がいる
「でへへ,,すげえ可愛い」
弟の声がここまで下品に聞こえたことはない
今,涼介は本気で弟を憎いと思った
あの少年は将来自分の恋人になる予定なのだ
たとえ弟といえどよこしまな視線を送ることは万死に値する
「啓介,走り込みが始まるぞ」
固い口調で兄が弟に命令する
「えっ兄貴,もうそんな時間なのか?」
啓介の視線も拓海から離れる
「ああ,お前は走り込んでこい,そして秋名スピ−ドスタ−ズにレッドサンズの実力を見せてこい」
「兄貴は?」
「いや,俺はここで見学させてもらう」
弟が走っている隙に少年にモ−ションをかける作戦だ
「や−っここは兄貴が走れよ,俺が見学しているからさ」「駄目だ,お前は走れ,そして地元の奴が何年かかってもちぎれないようなコ−スレコ−ドを作るんだ,それが俺達高橋兄弟の関東最速プロジェクトだ」
それだけ言い切ると涼介は少年のいた場所に視線をむけた
「なにぃっどういうことだっ一体」
兄弟が言い争う一瞬の隙をついて少年は姿を消していたいそいで周囲を探すが少年の姿は見当たらない
まるで白鳥に変えられたオデッサ姫のように少年は姿を消してしまったのだった
その後,涼介はどうやって家に帰ったのかをよく覚えていない
呆然とした頭の中で思い浮かべるのはあの少年のことだけである
運命の出会いを果たしたばかりなのに少年は消えてしまったのだ
どこへ?俺のもとから離れてどこへ云ってしまったのだろうか
会いたい,会ってこの思いを伝えよう
熱き心に思いを寄せて,君に愛の告白をするのだ
愛している
初めて会ったなどということや男同士だなどということはささいな事だ
涼介は熱いシャワ−を浴びながら少年へと思いを馳せた
深夜,涼介は違和感を感じて目覚めた
下着がしっとりと湿っているのを感じる
「・・・まさか」
どうやら自分は一目あったばかりの少年に肉欲を抱いているらしい
昨夜の夢
少年が可憐な仕種で涼介に抱きついてきた
「涼介さん,好きです」
「駄目だ,まだ会ったばかりなのにそんなことをしてはいけない」
「どうして,こんなに涼介さんの事が好きなのに」
涙で潤んだ瞳は真珠のように美しかった
「・・・」
確かに自分は少年の名前を呼んだような気がする
そして二人は一つになった・・・
だが目覚めてみればそれは夢でしかない
現実の涼介は少年の名前すら知らないのだ
ふうっと大きくため息をつく涼介
少年の可憐な媚態は麻薬だ
一度捕えられると逃げ出すことは出来ない
亜麻色の髪に口付けたい
薔薇色の頬に愛撫したい
瑠璃色の瞳を独占したい
考えれば考えるほど深みにはまっていく
涼介は起き出して汚れた下着を取り替えると夜の闇の中,秋名の峠へと向かった
さすがに白いFCでは目立つので愛用のKATANAを走らせる
それから一週間,毎晩のように涼介は秋名を訪れた
レイバンのサングラスで顔を隠し,獲物を狙う狩人のように少年の姿を追い求める
だが,涼介の努力にも関わらず少年の姿は見つからなかった
夜も遅い秋名峠,涼介は少年を探し続ける
少年は今頃,ベットの中でやすらかな眠りについているのだろうか,まるで眠れる美女のように涼介の訪れを待ちながら夢の世界にいるのだろうか,
見つからないと分かっていても今日も涼介は秋名へ出向くのであった
たった一人の運命の相手との再開のために
高橋涼介23歳,おどろくべきことに初恋である
彼はそのたぐいまれなる容姿と才能に恵まれていながら愛を知らない走り屋であった
藤原 拓海18歳,県立秋名高校の三年生,最近免許をとってばかりの若葉である
趣味は寝ることといつきとダベる事
得意技は豆腐の配達
バイトはガソリンスタンド
とまあこれが彼の簡単なプロフィ−ルである
しかし彼の魅力を語るにはこれでは不足であろうから加筆修整しておこう
藤原 拓海18歳,18歳という年齢はなにか特別な響きがある
一言で言えば青春,青い春,だからなんだと言われればそれまでだが拓海は青春な年齢なのだ
男にしては骨格が華奢なのは母譲りのせいだ
生っ白い細さではない
加護欲を起こさせるような,抱きしめて守ってあげたくなるような,そんな危うさを秘めた拓海の肢体
それに加えて母譲りの顔立ち
男の子は母親に似ると言うが拓海は秋名銀座小町といわれた母親に瓜双子であった
潤んだ瞳には星がちりばめられている
それを縁取る長い睫
すっとした鼻筋に男にしては色っぽすぎる唇
拓海の魅力は唇にあるといってもいい
唇を半開きにしてんぼ−っとされた日には回りの男はめろめろだ
亜麻色の髪も魅力の一つ
やわらかで触り心地抜群のその髪の毛
つい顔を埋めてまふまふしたくなる
成績は良いほうである
学校の成績は常に10番以内をキ−プしている
学校の後輩のうけもいい
頼れる先輩,憧れの先輩としていつも相談を受けたりしている
そんな彼の一番の魅力といえばやはり性格であろう
藤原 拓海18歳,彼は男親文太に育てられただけあって大変男気が強かった
この外見にこの中身はないだろう,と思うがそれはそれ,これはこれ
とにかく拓海は男なのだ
初めての喧嘩は幼稚園の時
隣の男の子にモ−ションかけられて,その場で即効殴り倒した
・・・カ・イ・カ・ン・・・
こんな古いねた,誰もわからんだろう,ごめん
この時は奇襲攻撃がきいたのか勝った拓海であったがやはりこの華奢な体格では喧嘩に勝つのは難しい
そこで拓海は技を磨いた
秋名銀座にある極真空手道場に通うこと12年
今では師範代の腕前だ
日曜日にはちびっこに空手を教えている
こんな拓海は実は秋名高校でけっこう名を轟かせている学校で拳は振るわないのがモット−だが一度だけサッカ−部の先輩を殴り飛ばしたことがある
先輩が彼女のしもねたをしていたからだ
先輩は前歯2本おって差し歯になった
そして先輩の彼女だった茂木なつきは拓海に惚れた
それから後,茂木はずっと拓海にアタックしている
「愛しているのよ,拓海君」
だが拓海はまだオ−ケ−を出していない
「俺は人を幸せに出来るほど人間が出来ちゃいないから」ああ,なんて男らしいんだろうか
最後に拓海のとっておきの魅力を教えよう
あの親父に育てられたのに,というか育てられたからなのか,拓海は非常に常識人であった
常識,それは社会のマナ−
だがまだ18歳の拓海は知らない
所変われば品変わる,じゃなくて場所によってマナ−やモラルが異なってくるということを
アメリカのマナ−とヨ−ロッパのマナ−は当然違う
職業や生まれそだった環境,土地柄によってももちろん変わってくるのだ
そう,懸命な読者様ならもうお分かりだろう
これはそんな価値観の違う二人がどうやって愛を育んでいったかの記録なのである
サブタイトルは「愛は価値観を超える」
いっておくが今回はギャグではない
ラブロマンスの予定である
親友のいつきに誘われていった秋名の峠
それは拓海にとってちょっとした出来事であった
配達の時とは時間帯が違うせいか,ぼちぼちと走り屋の姿が見られる
バイト先の池谷,健二も走り屋らしい
そして親友のいつきは走り屋に憧れる男子高校生
拓海はといえば,走り屋にあまり興味がなかったのでぼ−っとしながら見学していた
そんな時である,
彼らがやってきたのは
「俺達赤城でレッドサンズっていうチ−ムやっているもんだけど,この秋名で一番速いチ−ム,もしくは走り屋がいたら教えてくれないか?」
突然やってきた柄の悪い一団
赤城レッドサンズと名乗った彼らは秋名スピ−ドスタ−ズに交流戦をしかけてきたのだ
これは喧嘩か?
いつきが言っていた「血が騒ぐ」とはこの事か
つい身構えてしまう拓海である
しかし喧嘩を売られたのは池谷達
拓海はあくまで見学者なのだからしてじっと彼らの後ろでなりゆきを見守っていた
その時である
強い視線を感じたのは
ガンつけられている?
拓海は視線の主を探す
そこには一人の男が立っていた
強い視線の男,その第一印象はといえば,キザったらしいの一言につきるだろう
普通の常識からいえばいい男を見た場合の並の男の反応はこの程度である
しかも池谷達に喧嘩を売っている一団という認識の強いレッドサンズのメンバ−である
よい印象など持てるわけが無い
拓海はガンをつきかえす
これが俗にいうタイマンという奴だ
こういう場合のお約束として,一度ガンつけあった後に相手のじっくり監察して(上から下まで見て)その後でふふんっと鼻で笑うのが正しいタイマンの張り方である拓海もその故事にのっとって涼介を上から下まで監察しようとして,凍りついた
ただの紺のシャツ,しかしシルク
白のチノパン,ただしグッチ
ここまではいい,だが問題はその後だ
「こいつ,ただもんじゃない」
そう,高橋涼介は白のモカシンを履いていたのだ
白のモカシン,どんなにお洒落な気障やろうでもこれはないだろう
白といえば汚れの一番目立つ色
一回履く度に丁重なクリ−ニングが必要となってくる
しかも白なのだから,三回も履けばしみや黒ずみが目立ってくる
それを,この峠で惜しげもなく履いている
拓海の視線は涼介の足下で釘付けとなった
(こいつっ,モノホンの金持ちだ)
今まで拓海が見たこともない本物のブルジョワジ−の香りを涼介は足下から漂わせていた
「おそるべし,レッドサンズ」
極真空手師範代の拓海の背に戦慄が走る
男は強い視線でガンをたれてくる
妙にねちっこいその視線,
その時,周囲が俄に騒がしくなった
どうやら池谷と史紘の話し合いが終わったらしい
一瞬,男の視線が拓海から離れる
こいつは手強い,一度帰って作戦を練らなければ
拓海は再度,あいまみえるであろう強敵に別れを告げて家路を急いだのであった
日に日に窶れていく兄,涼介
寝る間も惜しんで秋名にいっているというのにまだマイアンジェとは巡り会えないのだ
「運命とはなんと残酷なのだ」
苦悩する涼介
夜ごとの夢は段々過激になっていく
「あんっいいっすごいっあんっりょうすけぇ」
身悶える少年を力づくで押し倒し,あらん限りの技巧を持って愛していく
「愛しているよ,君だけに,ああ,君だけに巡り会うために俺は生きているんだ」
「涼介さん」
性的に淡泊だと思っていたが少年の前には理性も吹っ飛んでしまうのだ
最高の夢だけに目覚めた時のギャップは激しい
「ふう,むなしい」
切ないような,甘酸っぱい思いをかかえながら今日も涼介は下着を取り替えるのであった
啓介が秋名の峠でちぎられた
しかも相手は10年前のぼろハチロク
この話を聞いたとき,涼介は我が耳を疑った
啓介は涼介程では無いにしてもレッドサンズ2として名を馳せている
その啓介がノ−マルのハチロクに慣性ドリフトでちぎられたらしいのだ
全く秋名の峠は驚くことばかりだ
啓介は復讐を誓っている
そのために毎晩,秋名にいって走り込みをしている
だが兄はその裏に隠された啓介の本当の目的を察知していた
弟はあの天使を探しているのだ.秋名の峠で
可愛いはずの弟が悪魔に見えてくる
俺の天使をつけねらう悪魔めがっ
許さない,弟のくせに兄の恋人(予定)に横恋慕するとは言語道断
その行為は万死に値する
「次のバトルは俺もいってみるか」
いかにもそのハチロクに興味を示した顔をして涼介は秋名にいくことを弟に告げた
げげげっと顔をひきつらせる啓介
(兄貴の奴,そういって俺のハニ−にモ−ションかけるつもりだな,そうはとんやがおろさねえ)
弟は兄を,兄は弟を偽りながら二人は仲良く秋名の交流戦に出かけることにした
はて?この話は涼拓の予定なのだが啓介が相当でばってきている
そこで啓介の心理描写も加えてみることにしよう
[高橋 啓介編]
高橋 啓介21歳,今時のつんつん頭でゴ−ルドチェ−ンをしているこの男
彼を分類するならばアニマル系である
欲望に忠実な肉食系の高橋啓介
信じられるものは力のみ
別に乱暴者なわけではない
筋肉マニアな訳でもない
だが興味のあるものを手に入れるためならどんな手段でも辞さない狩人であった
彼は今,秋名の峠の虜である
まず第一にあの少年
名前も知らない奴だが啓介のハ−トを鷲掴みの少年に恋の炎が燃え上がる
「でへへ,可愛いぜっ可愛いよ−」
啓介は野性の本能で気がついていた
兄もあの少年によってハ−トに火をつけられてしまったのだ
「負けるかよっ兄貴にだけは負けられねえ」
兄と弟,全くタイプの違う二人である
自分からモ−ションをかけたことのない兄弟だから女のタイプはバッティングしなかった
今まではだが
兄に寄ってくるのは夢見る夢子さん
弟に寄ってくるのは豹柄ボディコン系
それなりに食っちゃってはいるのだが本気でないから大丈夫だった
だが今回は違う
兄が愛した相手は俺のつがいの相手(予定)
実の兄とはいえ許せねえ
ガルルッとケンタッキ−フライドチキンを鷲掴みに食べながら啓介は叫んだ
「俺のもんだ,待っていろよっ今,俺がお前のバ−ジン奪ってやる」
少年がお初だと信じて疑わない辺りが兄と同じポエマ−な啓介であったがその事に自分では気がついていない
こうして啓介と名も知らぬ秋名の幽霊ハチロクの交流戦の火蓋が切って落とされたのであった。
う−っなつかしいのを発見。
2年前のネタ。
確かボツしたのでオフには乗せていな い筈,ということで今回乗せました。