SECRET GAME
「アニキ、なぁ・・・」
「ダメだ」
啓介が言いかけようとしたが、涼介の容赦ない声に言葉を続けることが出来なかった。
「そんなこと言わずにさぁ、勝ったんだからいいだろ?」
啓介が猫なで声を上げて懇願するが、涼介の言葉はつれないものだった。
「勝ったには勝ったがな、大事な車をあんなにしたんだから、罰としてそのままそこで黙って見ていろ」
埼玉エリア最終戦、相手はまったく大したことなかったが、プラクティス中、姑息な罠にかかって、啓介のFDはガードレールとキスする羽目になってしまった。
しかもディープにだ。
おかげでFDは修理工場行き、代替車で何とか乗り切り、バトルは無事勝った。
しかし啓介にとって、いやプロジェクトDのメンバーにとっては、気持ちのいいバトルとは決して言えなかった。
「あれは俺が悪かったよ。でも勝ったんだから、これは別だろ?」
啓介は何とかして涼介の許しを得ようと必死だった。
「ちょっと可哀相な気が・・・」
見るに見かねて拓海がポツリと呟いた。
「気にするな、放っておいていい。それより・・・」
涼介はそう言うと、下にいる拓海の首筋に顔を埋めた。
「んっ」
濡れた感触に拓海が目を瞑って小さく喘ぐ。
シャツの上から胸を撫でられ、拓海は躰を震わせる。
上に重なる涼介の躰を拓海は腕を伸ばして抱きしめた。
目の前でそんなことを繰り広げられ、啓介は悔しそうに唸った。
バトルの後の高揚感、その余韻を引き摺ったままその熱を冷まさせる為に、いつの間にか三人の間であることが行われるようになった。
きっかけは何だったか、もう誰も思い出せない。
「涼介さん・・・」
シャツを引き抜き、拓海の胸元を探っている涼介の髪に拓海の細い指が絡まる。
涼介が拓海の性感を順に探り、朱い跡を付けて行く。
走る刺激に拓海は喉をのけ反らして甘い声を上げた。
「ぁ・・・ハァ・・・」
躰を捩って熱い吐息を吐く拓海の姿に、啓介がゴクリと唾を飲み込んだ。
涼介の手が拓海のジーンズに掛かり前を緩め下ろして行く。
拓海はそれを手伝うように腰を軽く浮かせた。
露わになった白い脚を涼介の大きな手がゆっくりと撫で上げていく。
涼介が拓海の膝を掴み大きく割り拡げ、中心に顔を埋めていく。
半勃ちのそれを口中に含まれた瞬間、拓海の躰が大きく震えた。
「ぁ・・・涼介・・・さん・・・」
濡れた音を立てて陰茎を口唇で扱かれ、拓海は腰を突き上げるように何度も痙攣させた。
「あっあっ・・・いい・・・っ」
いつも以上に早い拓海の嬌声に、涼介がクスリと笑った。
「どうした今日は? そんなに飛ばすほど緊迫したバトルでもなかっただろう?」
耳元で囁かれ、拓海は躰をブルッと震わせた。
「だっ・・・て」
今にも果てそうな陰茎を強く握り締められ、拓海は喘ぎながら涼介を見つめる。
情けないほど乱れている自分に比べ、少しも乱れていない涼介の端正な顔を目にして、拓海は羞恥で瞳にうっすらと涙を滲ませた。
「啓介か? 啓介に見られているからか?」
涼介が笑みを浮かべながら、離れたところからじっと二人の姿を見詰めている啓介に視線を流す。
それにつられて拓海も顔を動かした。
バトルの時のように挑む目で、啓介が自分達を見つめている。拓海はその視線に躰の熱がカッと燃え上がるのを感じた。
「啓・・・介さ・・・」
赤い舌を覗かせて拓海が喘ぐように名前を呼べば、啓介がゆっくりと立ち上がった。
涼介が拓海の躰を伏せにして腰を高く上げさせる。涼介にされるまま、拓海は獣のように四つん這いになった。
拓海は乾いた口唇を舌で濡らしながら、その間もじっと見つめる啓介から視線を外さなかった。
「啓介、こっちに来い」
涼介の許しがようやく出、啓介はゆっくりとベッドに近づくと、じっと見つめる拓海の口唇に指を差し出す。
その指を拓海は舌を絡めて舐め始めた。
その間、涼介は拓海の双丘に口唇を寄せると、舌と指を使って解していった。
ウットリとした瞳で見つめる拓海の口から啓介は指を引き抜くと、顎を掴み唾液を滴らせもの欲しそうに半開きになっている口唇に乱暴に口づけた。
熱い口中を舌で弄り、深く口づける。
それをひとしきり味わうと、啓介はゆっくりと離れて行った。
「ぁ・・・ん・・・っ」
口づけが離れ、拓海は寂しそうに啓介を見上げる。
その潤んだ瞳に答えるように啓介はジーンズの前を緩め、熱く固く勃ち上がっている陰茎を中から取り出した。
それに拓海は微笑むと、赤い舌を差し出しながら口をゆっくりと開いていった。
口いっぱいに大きなモノを含まされ、拓海は苦しいのか少し顔を顰めながら必死で舌と口唇を使って奉仕した。
「んっんっ」
上の口は啓介のモノで塞がれ、下の口は涼介の指で嬲られている。拓海は走る快感に手足を震わせながら答えた。
「そろそろよさそうだな」
背後から涼介の声が聞こえ、拓海の躰がこれから起こることに期待してブルッと震えた。
口を塞がれたまま腰に熱い塊をあてがわれ、拓海は来る衝撃にきつく目を瞑った。
「んっ・・・んんっっ!」
躰を割り裂かれるようにボリュームのあるものが拓海の中に侵入していく。
衝撃に躰が崩れ落ちそうになるが、顔を両手で支えられ腰を強く持たれているため躰が自由にならず拓海は必死で耐えた。
「ハッ・・・ぁあ・・・」
涼介は奥まで自身を深く埋めると、一度、大きく溜息を吐いた。
「アニキ、すっげぇ良さそう」
拓海の口中を犯しながら啓介が興奮した声で話す。
「ああ。・・・相変わらず最高だな、藤原の中は」
涼介が声を押さえながら呟いた。
「次、俺も・・・」
啓介が我慢しきれない声で言った。
「一度、達かせてからだ」
それを宥めるように涼介が答えた。
「判ってるよアニキ。けど俺、もう我慢出来ねぇ」
啓介はそう言うと拓海の顔を押さえ、咽喉を突き破るかのように腰を動かす。
苦しさに拓海が呻くが、啓介の動きは止まりそうになかった。
「啓介、あまり乱暴にするな」
涼介がそう言いながらも、自分は拓海の最奥を激しく貫いている。
「んっ、んんっ・・・ふっ・・・ぐぅ」
口を塞がれているため声を上げられず、拓海は咽喉の奥で唸る。
上も下も激しく犯され、苦しいのにその苦しみが快感に変わる瞬間を拓海は知っていた。
二人から与えられる快楽、それが麻薬のように拓海の躰を侵食していく。
「藤原、顔にかけてやるよ」
遠ざかる意識の中で熱にうかされた声が聞こえ、拓海は焦点の合わない目でその声のほうを見つめた。
「くっ」
呻き声が聞こえ顔面に熱い飛沫が注がれる。拓海は笑みを浮かべて口を大きく開け、舌を差し出しそれらを受け止めた。
上半身の支えをなくし力の抜けた腕が崩れ、拓海の躰がシーツに落ちる。
下肢は涼介に捉えられているため腰を突き出した体勢になった。
涼介は拓海の双丘を指で拡げ、奥底まで貫こうとしている。
「ハッ・・・あぅっ・・・ああ・・・っ」
拓海の腰がブルブル震え、口唇から何度も嬌声が上がる。
先ほどまで上げられなかった声が堰を切ったように溢れていた。
限界を超え、拓海は悲鳴を上げて精を純白のシーツに吐き出す。
「藤・・・原・・・っ」
吐き出した衝撃で大きく震えた躰が中を締め付けたのか涼介が呻き声を上げ、少し遅れて拓海の中にようやく欲望を解き放した。
霞む意識の中、耳に聞こえる二人の吐く荒い呼吸に拓海は満足する。
二人に与えられる快感を拓海も与えているのだと言うことに興奮した。
涼介が始めたゲームの裏に潜むもう一つのゲーム。
時間の限られたこのゲームが永遠に続いて欲しいと、拓海は心の奥底で無意識に願っていた。
逃げる!!