『今週のヤンマガ、1月20日啓介を襲う罠編』

 

「スタンバイいきましょう、啓介さん」
 FD専用メカニックの声に啓介は車へと乗り込んだ。
「やれやれ、やっとこさ俺の出番かよ」
 文句を言いながらも軽快なロータリーサウンドを鳴り響かせて啓介はプラクティスを開始した。

ゴウゥッゴワッ
啓介のFDが走りだした時、拓海の操るハチロクもプラクティスを開始していた。
「時間が無いからな、効率よく作業を進めないと」
 信頼出来るハチロウメカニックのお兄さん松本に指示されて拓海はちょっと緊張しながら運転していた。
「はい、行きます」
素直な返事を返す拓海は超可愛い。
 松本は自分がハチロウのメカニックである幸運をかみ締めながらナビシートでデーターを取っていく 。
プラクティスは何時もどおり順調に進むはずであった。

 



 その頃、柄の悪いヤンキー崩れの男2人がにやにや笑いながらその様子を伺っていた。
「へっへ、いい気になっていられるのも今のうちだぜ」
「どっちかっていうとハチロクよりFD狙った方がいいと思うけどな」
 意味深な会話をする二人
「自分だけ楽しようって魂胆じゃねえだろうな」
「そういう訳じゃねえって」
「FDに乗っている奴がムカつくヤローなんだ、俺に向かってニラミかましやがったんだぞ、くそ生意気なガキは泣かしてやりてえんだよ」
「まあいいか、もらった金は仲良く折半だからな」
そして一人が携帯で連絡を入れる。
「もしもし、俺だ、標的はFDだ」
連絡をもらったほうが確認を入れる。
「本当にいいんですか?バレたらやばいっすよ」
 男は命令口調で断言した。
「やるんだよ」
 その声は威圧的ですらある。
「わかりました、上手く狙い打ちできるかわかんないけど、下手すりゃ2台ともやっちゃいますよ、」
「そんときゃーそん時だ」
こうして罠が仕掛けられた、
 啓介と、拓海、ダブルエースを陥れる巧妙な罠が。

 

 

ガオオオッ
 プラクティスは順調であった。
 途中、啓介と拓海がすれ違う。
 すれ違った瞬間、啓介は胸の高まりを覚えた。
「プラクティスは楽しいぜ、こうしてすれ違う度にあいつには負けられねえって思うからな」
 プラクティスの最中は二人は最高のライバル、
 そしてバトルが終われば二人は恋人同士の関係。
「拓海、お前は最高のパートナーだぜ」」
 はやる鼓動を啓介はおさえながらコーナーへと向かった。

 

 

バシュッ
 突然鋭い音が峠に響き、FDがクラッシュする。
 何が起こったのか、一瞬の出来事であった。
 FDのフロントガラス一面に細かいヒビが入って前が見えなくなる。
「クウウウッ」
 啓介は天性の勘とドラテクでスピンする。
シュウウッ
派手な音をたててFDは止まった、
 後1センチでもラインがずれていたら大事故に繋がるところだ。
 啓介だからこそ避けることが出来たと言えよう。
 泡を吹いているメカニックと啓介は急いで車から降りる。
「何かフロントガラスに当たったんだ」
 その何かを確かめようとした時、背後から衝撃が襲いかかってくる。
「ううぅ、くっそぉ」
 頭から血を流しながら振り返る啓介の目にモデルガンを手にした男達の姿が写った。
 そこで啓介の意識は途切れる。

 

 

「悪い予感がする」
 何故だろう、順調なはずのプラクティスの後半
 拓海は嫌な胸騒ぎに襲われた。
「藤原、大丈夫か?」
 松本が心配そうに声をかけてくる。
 大丈夫だと返事しようとした時、今、啓介と通り過ぎたコーナーからスピンするタイヤの音が聞こえた。
「啓介さん!!」
「FDが事故か?」
 ハチロウはユーターンしてFDの元へと向かう。
 拓海達が現場に駆けつけたとき、FDは白い煙をたてて止まっていた。
「啓介さんは?」
 拓海と松本が急いで駆け寄る。
 そのとき二人は心配のあまり周囲への警戒を怠っていた。
ガツッ
 「ウウウッ」
 横で鈍い音がして松本が倒れこんだ。
「松本さん?」
 拓海が驚いて振り返るとそこにはモデルガンで松本を殴り倒した男達がにやにやと笑いながら現れたのだ。
 FDの影に隠れていた男達は拓海が一人になったのを確認すると下品な笑いを浮かべながら近づいてくる。
「お前等、啓介さん達になにをした?」
 拓海はそんな男達を気丈にも睨み付ける。
だがそれは男達の雄をあおる結果にしかならなかった。
「啓介さんならそこで転がってるぜ、げへへ」
 見ると、啓介とメガネメカニックはしばられていた。
 啓介は怪我をしている。
 頭からの出血は彼の衣服を汚してなお止まることはない。
「早く病院に連れて行かないと」
 拓海は啓介に駆け寄ろうとしたがそれはかなわなかった。
 男の一人の手が拓海の服にかかる。
「ただ事故らせるだけじゃつまんねえよな」
「俺達と遊んでよ、秋名のハチロクちゃん」
 うひゃひゃと笑いながら男達の手が拓海の華奢な体に襲い掛かってくる。
「やめろーっ」
 拓海の悲鳴に啓介がようやく目を開けた。
 脳震盪を起こしていたので上手く思考が働かない。
 だが、啓介はその目に映ったものを見た瞬間絶叫した。
「拓海に触るなー」
 無我夢中で体をよじる啓介。
「無駄だぜ、そこでおとなしく指をくわえて見ていな」
「へへへ、見ろよ、この肌、すげえ吸い付くみたいだぜ」
「男でも問題ねえよな、これなら」
 拓海は必死で抵抗する、
 だが4人がかりで押さえ込まれ、服を剥ぎ取られていく。
「いやだぁ、やあぁっあっ、やめろ」
「抵抗されるのもそそられるじゃん」
「こいつ、妙に色っぽいぜ」
 拓海を見る4匹の野獣の目はすでに理性を失っている。
 裸にされ、全身に手を這わされる、嘗め回されるこの屈辱。
「やっやあぁ、見ないで、いやぁ、啓介さん、お願い、見ないで」
「よせ、拓海に触るんじゃねえ、お前等殺してやる」
啓介が手負いの獣のように暴れるが戒めは外れない。
愛しい拓海が蹂躙されるのを見ていることしか出来ない。
「こいつ感じているぜ、へへへ」
「そうだ、いいことを思いついたぜ」
 一人が思いついたかのように拓海の携帯を取り出すと短縮を押した、
 ツルルルルッ
 短い呼び出し音がなる。
「拓海っどうしたんだ」
電話から声が聞こえてきて拓海は息を呑んだ、
「あのすかしたリーダー君にも秋名のハチロクのいい声聞かせてやろうぜ」
「そりゃあいいぜ、赤城の白い彗星は悔しがるぜ、秘蔵っ子のお初をとられたってな」
 男達は興奮してげらげら笑いながら拓海にのしかかってくる。
「いやぁっああっひいっヒイィ」
 拓海の細い悲鳴が峠に木霊した。
携帯からは涼介の声が聞こえてくる。
「拓海、どうしたんだ、何があったんだ、拓海、拓海ー」
 
 拓海の悲鳴に混じって獣のような啓介の絶叫が聞こえ、涼介は息を飲んだ、
「何があったんだ、二人に」
 涼介は携帯を握り締めるとFCに飛び乗った、



来週に続く



多分、今週のヤンマガを見た拓受けファン誰もが思ったことだと思います、
このシチュエーション、