高橋涼介さんという人はすごいと拓海は思う。
赤城の白い彗星でカリスマで群馬大学主席で御金持ちなのだ。
それだけではない。
見事な8頭身に日本人離れしたアルカイックスマイルをいつも称えている。
弟の啓介さんもすごいかっこいい。やっぱり8頭身に鍛えられた鋼の身体。
黄金の髪と色素の薄い瞳がまるでモデルみたいだ。
すごいかっこいいなあぁと拓海は憧れていた。
俺はよっぽどぼーっと見とれていたのだろう
親切な史弘さんがこっそり教えてくれた。
「実はな,涼介と啓介はクオーターなんだよ,母親の父親がアメリカ人なんだ」
「えええっそうなんですか」
「ああ,だから啓介なんて実はあれ,自毛なんだぜ,みんな染めているって思っているけどさ」
「かっこいいなあぁ.ますます憧れちゃいます」
拓海はうっとりと涼介さんと啓介さんに見入ってしまった。
「涼介の瞳もさ,ちょっと角度が変わると紫に見えるぜ,今度よく観察してみろよ」
「パープルなんですね,かっこいい」
拓海はますます驚いてしまった。
そして納得する。
「あっだからかぁ,あのコミニケーションの取り方,俺ちょっと不安だったんですよ」
拓海はぽんっと手を叩いた。
「涼介さんも啓介さんもすぐにキスしてこようとするしおしりや肩触るし,俺二人がホモだったらどうしようってちょっと不安だったんですよ」
あれはアメリカ人のコミニケーションだったのか。
「ハグされているのに俺ったら,セクハラだなんて思っちゃって,ははは,俺もグローバルにならないと駄目ですね」
拓海はにっこり笑うと兄弟のもとへとことこ歩いていった。
まるで鴨が葱しょっていくみたいに・・・
「藤原,それはちょっと違うぞ」
目の前で拓海が兄弟にハグしている。
兄弟は鼻血を噴射している。
違う,何かが違う。
そう思う史弘であるが,兄弟が恐くて何も言うことが出来なかった。
「ストップ高橋さん 2」
涼介さんも啓介さんもとってもかっこいいと拓海は思っている。
時々日本人離れしたオーバーアクションなのだがそれも二人がやるとまるでハリウッドの俳優のようにかっこいいのだ。
拓海がうっとり見つめていると親切な史弘さんが教えてくれた。
「実はな,涼介と啓介は帰国子女なんだよ」
「えええっそれは初耳です」
「涼介が12歳,啓介が9歳の時までマイアミに住んでいたんだ,見て分かるだろう」
拓海はこくこくと頷いた。
そう言えばそうだ
何かというと二人は肩をすくめて両手を上げて言う。
「オウッ」
妙にバタ臭い仕種だと思っていたがそういう事だったのか。
ようやく拓海は納得した。
そして思い出したようにぽっとしてしまう。
あれも相当恥ずかいけれど,白けてしまうけれど二人がそういう環境で育ってきたなら仕方が無い。
拓海は昨夜の事を思い出していた。
昨日,拓海は兄弟とデートをした後ホテルにしけこんでいた。
「あっああぁっ涼介さんっ啓介さんっ」
「可愛い拓海,愛しているぜ」
「拓海,大好きだ」
この愛とか恋とかすぐに口に出せるところがやっぱりクオーターだと納得してしまう拓海。
だが・・・問題はそれからなのだ。
二人はエキサイトしてくると大変うるさい。
「オウッノウッワンダフル拓海」
「ディアスイートッハウッオウッスイートハート」
これには拓海も驚いた。
激しく腰をエレクトしながらオーバーアクションの高橋兄弟・・・
「やっぱりすごい人達なんだな」
うんうん,拓海は頷いた。
「俺もちょっと英会話勉強しなきゃ」
そして「オウッグレート」くらいは言えるようにならなくてはいけない。
「あっNOVAの時間だ,それじゃあ」
史弘にぺこっとお辞儀をして去っていく拓海。
「違う,何かが違う」
そう思う史弘であったがそれは文化の違いだということで口には出せないのであった。