性質

アムロレイは潔癖症だ。
本人は隠しているようだし、その鷹揚な性格からして他の者には気がつかれていないが。
彼を見つめている者にはわかる。

シャアことクワトロがさりげなく肩に触れると彼はさりげなく離れていく。
カミーユがアムロの手を握ろうとすると弾かれたようにこわばらせる。
ベルトーチカが「ヘレンヘレンだね」と言いながらアムロの髪に顔を寄せると彼は驚いたように後ずさった。
彼は触られるのが嫌なのだ。
接触を拒んでいる、
それをあの柔らかい優しい微笑みでかわしていく。
微笑みを、微笑みのみを盾にして彼は 触られるのを拒む、
他者にはわからぬよう、さりげなく距離をとる。
触れられるのを拒む体の奥にあるのは何なのか?

何が奥に潜んでいるのか?
わからないから触れたくなるのは人間の性だろう。
触れようとしてかわされるからこそ、ますます触れたくなる。
彼の奥まで入り込んで、体中を探り、全てを暴きたくなるのは人間の業だ。

 

そんな事にも気がつかず、彼は今日もさりげなく拒む。
それがどれほど人を煽り立てるかも気がつきもせず。