嫉妬

クエスパラヤにとって地球とは、家族とは居心地の悪い場所でしかなかった。
自分のいるべき場所は他にある。
自分は間違ってここに生まれてきてしまったのだ。
思春期特有の鋭さとニュータイプとしての直感でクエスはそう感じていた。
だから宇宙に出たときの開放感は最高だった。

「あたしの居場所はここだ、ここだったんだ」
居場所は見つけた。
この広い宇宙こそが自分のふるさと。
そして、ロンドベルで彼と出会った。
直感でわかった。
「アムロレイ」
あれがファーストニュータイプのアムロレイ
「綺麗」
クエスは一目で夢中になった。
アムロレイはとても綺麗。
彼の周りだけきらきら光っていて柔らかい。
近くにいったらもっと気持ちよくなれるだろう。
彼の特別になったらもっと居心地いいだろうに。
「何あれ、アムロの傍にまとわりついて、嫌な女」
黒髪の、オールドタイプが我が物顔でアムロの横にいる。
チェーンとかいうさえない女、
でもアムロも彼女が横にいるのを許している。
「酷い、あそこはあたしの場所なのに」
クエスは指を噛みながら癇癪を起こした。
そして考える。
アムロの傍にいきたい。
アムロの特別になりたい。
彼になってからクエスはそればかりを考えていた、
だからわかったのだ。




ジープを走らせていたアムロが唐突に一頭の馬を追いかけ始めた。
「シャアッ」
馬を追いかけたのではない。
馬に乗っていた人間をだ。
金色の髪、美しい青い目 立派な体躯の軍人
彼はネオジオンの総統だった。
クエスでも知っている有名人をアムロは追いかけ、殴り合いを始める。
その瞬間わかった。
アムロを手に入れる方法を、
「あれがアムロの特別なんだ」
アムロがシャアと呼んだネオジオンの総統はニュータイプだ、
アムロとは違う輝きを持っている。
クエスはそれに惹かれた。
「彼を手に入れればアムロが手に入る」
子供じみた考え、クエスは銃を手に取りアムロへと向けた。
そんなクエスにシャアは一瞬驚いた顔をして苦笑した。
「来るかい?」
彼にはわかったのだろう。クエスが何を考えているか。
ニュータイプ同士なのだから当然だ。
クエスは迷わずうなずいた。


この男は近い将来必ずアムロを手に入れる。
ならあたしはアムロを手に入れたシャアを手に入れてやる
両方手に入れる、だってあたしには両方必要なものだもの。


クエスはそう誓いを立て、 ネオジオンへと下ったのであった。

 

クエス初めてかくので支離滅裂でごめん