[animal lovers]

 

 


 Lはシンプルな生き物だ。
 彼は探偵だから推理することが全てだ。
 後はどうでもいいと思っているの。
 推理以外は本能のままに生きている。
 食欲、睡眠欲、性欲。
 それだけの生き物。
 文明人が普通に持っている権力や金に対する欲望、見栄やその他色々な欲を持っていない。
 シンプルな獣。
 だからLは月を抱くのに躊躇しなかった。

 

 

「いやだっ」
 抵抗する月をLは易々と押さえつける。
 これは何時ものことだ。
 どれ程月が嫌がろうとも説得しようともLは聞き入れようとしない。
 Lは自分の欲望に忠実なだけだ。
 そこに月の感情は含まれていない。
「入れたいんです」
 Lは荒い息でそう断言する。
「夜神君の中に入れたい」
 入れて掻き回して激しく出し入れして射精したい。
 夜神月はLの欲望を刺激する。
 月のどんな仕草も表情も、態度もLの欲望を煽り立てる。
「夜神君の中はとても気持いいんです」
 きゅうっとLの雄を締め付けてきて優しく絡み付いてくる。
 そのことを想像するだけでLは我慢できなくなる。
 Lは自分に正直だった。
 月と性交をしたいと思ったらすぐに行動に移した。
 捜査本部のあるホテルに誘い、強姦した。
 抵抗する月を押さえつけて月を抱いた。
 月がどれ程抵抗しようとも、腰の動きを止めなかった。
 いや、抵抗されることで更に興奮が増したのだろう。
 何度も、飽きることなく月を蹂躙したのだ。
 最後には月が快楽に流され切ない喘ぎをこぼしてしまうくらいに、容赦なく抱いた。
「好きです」
 Lは言う。
「夜神君が好きなんです」
 だから抱いた。
 シンプルな思考だ。
 だけれども月は知っている。
 月の奥に己をねじ込み激しくピストン運動をして、恍惚の表情でLは果てる時、彼は本音を漏らす。
 多分興奮して我を忘れているのだろう。
 激しい息の下、射精する瞬間、Lは名前を呼ぶ。
 キラ、
 愛しげに月の中にぶちまけながらLは犯罪者の名を囁くのだ。
 その名前に月も欲望を煽られる。
 Lが果てると同時に、一度も触れられていない果実が蜜をこぼす。
 月の真実を本能で見つけ出したLに欲情するのだ。
「キラ・・・キラ・・」
 Lは繰り返しながら胴振るいをする。
 うっとりとした表情を隠そうともしない。
 それを見ると月は満足する。
 Lはキラに夢中なのだ。
 独占欲とも征服欲とも言えるその感情、
 人間が持つ欲望が満たされる。
「夜神君、好きです」
 絶頂の後、Lは月を抱きしめながらごろごろと喉を鳴らした。
 まるで動物だ。
 シンプルで欲望に忠実な月だけの獣。
 だけれども月は人間だからLに悟られないように顔を歪ませる。
「お前なんか嫌いだ」
 その言葉をLは無表情に受け止める。
 けれども月には分かっている。
 仮面の下でLは悲しそうな顔をしている。
 泣きそうな情けない顔をしている。
 月を欲して、得られないことでますます欲望を煽り立てられている。
 なんて楽しいんだろう。
 だから月はLを拒絶する。
 お前のものにはならないと。
 Lには決して掴まらないと。
 獣に躾は必要だから。
 きっと獣は手に入れた獲物には見向きもしなくなるだろう。
 本能だけの生き物は手に入れたものを大切にしたりしない。
 他に興味が移るだけだ。
月はそれを知っているからLを抱きしめたりしない。
 愛したりしない。
 人間は獣を愛したりはしない。
 けれどもペットのように可愛がってあげることは出来る。
「誰が主人かを覚えさせないと」
 月は傍らで眠るLに優しく微笑んだ。
 起きているときには決して見せない微笑。
 セックスに満足して眠りこけている獣はそれを見ることは無いけれど。
 月はその耳元に囁いた。
「もっと僕に執着すればいい」
 手に入れられない獲物を恋焦がれて自滅すればいい。
  月の言葉は暗い室内で奇妙に明るく響いた。


  Lが月大好きというのが基本ですね、(へたれL好きです)