「甘い関係」

 昼下がりの捜査本部
 まったりとした空気の中、月は眉間に皺を寄せて考え事をしていた。
 最近何時も月の眉間は皺が寄っている。
 このままではこれがくせになってしまう。
 こんなしかめっ面の顔が定番にあってしまうのだが月は眉をしかめずにはおれなかった。
 隣ではLが美味しそうにショートケーキとシュークリームとはちみつたっぷりのイングリッシュティーでお茶をしている。
 ホットケーキとチョコレートも机の上に乗っている。
 見ているだけで気持ち悪くなる光景だ。
それを嬉々として片付けていく無表情な蛙似の男。
スイーツと蛙
あまりにも似合わなすぎる取り合わせ。
強烈すぎて月は目を逸らした。
すると目の端にLと自分を繋ぐ手錠が目に入ってますます眉がしかめっ面になる
 月は大きくため息をついた。
 大体において、Lと月は生まれも育ちも性格も、なにもかもが合わなさすぎる取り合わせだ。
 なのにこうして一緒にいる。
 それだけじゃない。
 実はここだけの話、Lは月が好きらしいのだ。
 好きで好きでたまらないらしい。
 そのことを隠そうともせず、隙あらば何時も月に襲い掛かってくる。
 なのに、それをこばめなくて、つい流されてしまって、まいったことに月はその行為を許してしまっている。
 許してしまった次の日は月の眉間は皺だらけだ。
「なんでだ」
 Lとエッチしてしまった翌日、月は眉間を寄せながら考える。
 自分はLをどう思っているのだろうか?
 天才で鬼才で名探偵のL
 有限実行で、月を翻弄し続けるL
 運動神経抜群、行動力に富むL
「うわ、最悪」
 どう考えても月の好みじゃない、
 ぷるぷると首を振りながら月はちらりと横を見た。
 横ではLが口元をべたべたに汚しながらホットケーキメープルシロップ漬けを食べている。
 食べながら月をちらちら見て無表情に頬を染めている。


「・・・・可愛い」


 不覚にもそう思ってしまって月は屈辱に頬を染めた。 
そうなのだ、。
 月がLをこばめないのはこの情けなさが原因なのだ。
 瞳孔開きっぱなしの目で、猫背で月に擦り寄ってくるLはキモカワイイ爬虫類
 指を咥えて体育すわりをしている姿はインコみたいだ。
 動作はナマケモノそのものでべたべた触ってきて、犬みたいにべたべた嘗め回してきて、全身れろれろしてくるし、無表情のくせに嬉しそうに月を抱きしめるし、
「・・・・・」
 月は昨晩のことを思い出して頬を染めた。
 横ではだらだらとメープルシロップをこぼしながらLが月を見詰めている。
 そんな姿は月のつぼすぎる。
「お風呂にいく?」
 そう言うとだらだらシロップをこぼしながら瞳孔開きっぱなしでこくこく頷くL
 やっぱりLは動物っぽくて可愛い。
「お風呂で洗ってあげるよ」
 月の言葉にLは嬉しそうにこくこく頷くと素直に立ち上がった。


 鎖に繋いだLを嬉々としてお風呂に連れて行く月の姿は自分だけのペットを可愛がる飼い主であった。