「ライトの苦悩7」

PAGE21 裏腹より

テニスで交流を深めた流河と月は二人きりになれる場所へと移動した。
「ここの喫茶店は僕のお気に入りでね、奥の席に座れば人に会話を聞かれることも無い」
ライトの言葉に流河は頷いた。
「良いところを教えていただきました」
「ここならその座り方もそんなに気にすることもないしね。はは」
流河は無表情で頷く。
「ああ、私はこの座り方で無いと駄目なんです。キラについて推理すると勃起してしまうので」
「・・・は?」
聞き間違いか?ライトは首を捻った。
「勃起?」
流河は相変わらずの無表情で答える。
「キラについて考えると興奮して激しく勃起します。普通の座り方ですと盛り上がりが目立ちますので」
たんたんと答える流河ことL
「・・・・・」
ライトはこの喫茶店を、この席を選んで良かったと心の中で呟いた。
(こんな会話は誰にも聞かせられない)
否、問題はそこでは無い。
何故、Lがキラについて推理すると勃起するのか。
それが問題だ。
聞きたくない、聞きたくないけれど・・・
月は恐る恐る聞いてみた。
「どうして流河はキラの事を考えるとそういう状態になるんだ?」
素朴な質問だった。
流河は相変わらずの無表情だ。
だがほのかに頬が染まっている。
(・・・・)
ガタッ
椅子ごと思いっきり引いてしまった月に流河は答えた。
「初恋なんです」
(ひいいっ)
こいつにだけは自分がキラだということを悟られてはいけない。
月は決意を新たに流河と心理戦を繰り広げるのであった。