PAGE21 裏腹より
テニスで交流を深めた後、Lこと流河と夜神月は喫茶店で心理戦を繰り広げていた。
まずはFBIのファイルを見せられる。
月はそのひっかけに乗らなかった。
続いて見せられたのは3枚の写真。
「この3枚はキラが刑務所内の犯罪者を使って死ぬ前に書かせたと思われる文章です」
流河の説明に月は内心苦笑した。
こんなものを見せて僕の顔色が変わるとでも思っているのか?
キラも見くびられたものだな。
こいつの中のキラはこんなものに騙されるのか?
「この3枚の写真は面白いよ」
月はさも感心したという風を装う。
「キラが死だけでなくその人間の行動を操れると言うのが本当だとしたらすごい事実だし、しかもこれはキラが書かせようとした文章だと推測出来る。Lをからかうような文章が暗号化されているからね」
月は写真を机に並べた。
「それぞれの文章の一番上の文字だけを取って左から読むとまた文章になる。
違和感の無いように並べるなら、そうだな、「L知っているか、死神は林檎しか食べない」かな」
月の答えに流河は目を見開いた。
「でも写真の裏にプリントナンバーが入っている、その順に並べると
「L知っているか、林檎しか食べない死神は、」だ。少し不自然でキラがLにこう読ませようとしたとは考えにくいけどね」
月の答えは完璧なはずであった。
だが流河はそれを否定した。
「不正解です」
眉を潜める月にLはまたも写真を差し出した。
「実は後3枚、写真があるんです」
「?」
「これはこの3枚とは別の日に犯罪者によって書かれたものです」
月の前に並べられた写真には前と同様に字が並べられている。
「これは?」
「読んで見てください」
流河に即されて月は写真を見た。
「L知っているか?」
そこまでは同じだ。
だが・・・・
「キラはLにラブラブだ。」
二枚目にはそう書かれている。
「Lとキラは両思い」
三枚目の内容はもっと馬鹿げていた。
「・・・・」
ふざけるなっ月は机をひっくり返しそうになるのを耐えた。
そんな月を流河はじっと観察している。
何故か頬を染めて無表情で。
(・・・・なるほど、これは推理力ではなく反応を見ているんだ。残り3枚が存在しないと分かっているキラにとっては馬鹿らしいか腹が立つだけだ)
これ以上食って掛かったらこいつの思う壺だ。
月は引きつる顔を抑えつつにっこりと笑った。
「うーん、そこまでは推理出来なかったな。キラとLがラブラブだなんて」
月の反応に流河は嬉しそうに無表情で笑った。
「うふふ」
(ひいいっ)
心の中で月は悲鳴を上げたがそれを口にするのは耐えた。
そして心底決意を固めなおす。
(こいつにだけは自分がキラだということを悟られてはいけない)
悟られたら、ばれてしまったら・・・
おののき震える月に流河が告げる。
「今の反応で夜神君がキラではないかと思う気持ちが7%に盛り上がりました」
よく見ると流河の股間も盛り上がっている。
「私は本当に夜神君をキラじゃないかと疑っているんです」
そういう流河の目は充血し興奮している。
息が荒い。貧乏揺すりも激しい。
(ひいいっ)
月の苦悩はまだまだ続くのであった。