「ワタリ、アイバー、それにウエディをここに呼べるか?」
Lのは新たな操作人員を入れようとしていた。
「え?彼等の居所は把握していますが、顔を見せる気ですか?」
ワタリの問いかけにLは大きく頷いた。
「彼等と私にはもうそれなりの信頼関係があります。ヨツバという大きい物を探るのにわざわざワタリを通していたのでは無駄に時間がかかるし私の考えも伝えにくい」
「わかりました。手配します」
この会話から3日後。
アイバーとウエディが到着した。
「俺はアイバー、詐欺師だ、よろしく」
グッチのモカシンにアルマーニのスーツ、ちなみにネクタイはゴルチェ、時計はカルチェ
金髪で長身のナイスガイが爽やかに挨拶をする。
「ウエディ、職業は泥棒」
サングラスからストッキングまで、全身シャネルのコマダム
プラチナブロンドの巻き髪が彼女の上質さを語っている。
「さ、詐欺師に泥棒?」
紳士服の青山な夜神元局長と松田、模木は唖然とした。
「そうです。アイバーは語学力、心理学、人格変換術、あらゆる社交に必要な物を身につけ、必ずターゲットと親密な関係になる詐欺師。潜入捜査に使えます」
Lの説明にアイバーはにやりと笑った。
「そう、ミイは狙ったターゲットは必ず仕留めるハンター、よろしく」
彼は優雅な仕草で握手を求めてくる。
「・・・・なんで僕の手を握るんですか?」
手を差し出したことを月は激しく後悔した。
「離してもらえませんか?」
にぎにぎっと握手の手を離してもらえなくて月は戸惑っている。
もちろんその横で捜査陣も戸惑っている。
「ジャパニーズボーイの手は小さくて可愛いね、食べてしまいたいくらいだ」
「・・・・・」
アイバーは月の手にうやうやしくキスをした。
月の全身に鳥肌が立つ。
「アイバー、君のターゲットはヨツバグループです」
Lが憮然とした顔でアイバーを月から引き剥がした。
「ライト君は私のパートナーです。ちょっかいを出さないで下さい」
「オウッ」
アイバーは大げさに肩を竦めると口笛を吹いた。
「Lのパートナーならミイのパートナーも同然、だってLはミイにビジネスを頼んできたパートナーだからね」
にやりっとアイバーは笑う。
「だがライトとは別の意味でパートナーになりたいな」
即効呼び捨て、アイバー仕事が早い。
月の腰に手を回そうとするアイバー。
Lがそれを叩き落す。
「私は人選を間違いました。アイバーあなたはもういいです、帰ってください」
交通費は払いますから、とLは小切手を差し出す。
月にちょっかいを出しただけでクビなのか?
高校生のアルバイト面接じゃあるまいし・・・
捜査陣が脱力する。
「ふふふ、障害が多いほどハンターは燃えるものだ。ミイの名はアイバー、日本語名では愛バー、愛を求める狩人」
「・・・・あのー、月君は男なんですけど」
盛り上がっているアイバーに一応松田が忠告をする。
「愛に国境も性別も犯罪歴も関係ない」
アイバーは人の話を聞かないイタリアンだった。
「ミイはホテルを取っていないんだ。日本での滞在はライトのところに泊めてくれるよね」
アイバーの流し目に月は後ずさる。
「このビルに泊まるってことですよね」
「イエス、ターゲットに近づき親密になる。それには寝食を共にするのが一番だよ。体の付き合い大切ね、オーケー?」
「・・・だから僕はターゲットじゃないんですって」
アイバーは日本語の通じないイタリアン。
でも、でもそれだけだろうか?
月は激しくデジャブーを感じた。
「そういえば。Lの時もミサの時も・・・・同じパターンだったような気がする」
どんなに説得しようとしても人の話など聞いちゃいない奴等。
目の前で不毛な口論をしているアイバーとL。
月は救いを求めてウエディに目を向けた。
「ひいいっ」
そこで月が見たものは?
次回に続く。
ウエディの正体はいかに?