夜神 月
彼は18歳、一介の大学生にも拘らずキラ捜査本部に入ることとなった。
それは過去、月の助言により解決した事件が幾つもあった実績と推理力を買われたからだ。
夜神 月は捜査本部に出向いたその日から見事な推理力と判断力で捜査陣を驚かせ感嘆させた。
偽キラの存在を断言し、Lに匹敵する推理力を披露したのだ。
「さすがライト、私の息子だ」
夜神父は満足だった。
「さすが月君、Lに負けずとも劣らない」
「これでキラ逮捕に全力を注げますね」
松田や相澤、捜査陣達は手を取り合って月のことを歓迎したのであった。
数日後
「竜崎、何度も言っているだろう」
月の怒声が捜査本部に響く。
その声に夜神本部長を初めとする捜査陣は肩を落とした。
また始まったと・・・
「テーブルの上に足を置くな、靴下はちゃんと履け」
月はLの前で仁王立ちしている。
Lはあの独特の座り方できょとんと月を見上げている。
「それに甘いものばかり食べてちゃんと食事していないだろう、栄養が偏るんだぞ」
Lの前にはお菓子やケーキの数々。
今もほおばろうとしているショートケーキを月は取り上げた。
「今日、ショートケーキは3つも食べただろう、もうお預けだからな」
ケーキを取り上げられた竜崎は残念そうに爪を噛む。
「ほら、爪を噛まない」
月はLの手も取り上げた。
「ああ、口の周りもべたべたじゃないか」
月はハンカチを取り出してLの口元を拭いてあげる。
「全く子供じゃないんだから世話やかすなよな、ほら、これで綺麗になった」
い 月は丁寧にLの口元と指をぬぐった。
「ライト君、チョコレートが食べたいです」
Lの言葉に月はしかめ面をする。
「ちゃんと食事したらデザートに食べていいよ」
「ライト君が一緒に食べてくれるなら」
「・・・何が食べたい?洋食?和食?それともイタリアン?」
「ライト君が食べたいです」
「ふざけるなあぁー」
机をひっくり返す月。
それを見ながら捜査本部陣は大きくため息をついた。
「ライト君、おかん過ぎる」
かいがいしくLの世話をやく月。
まさか月がこんなに世話焼きだとは誰も推理できなかった。
「というより珍獣をしつける調教師?」
相澤がぼそりと呟き皆は沈黙した。
「ゆるさんぞ、こんなことは絶対ゆるさん」
夜神本部長は怒りに震えている。
「まあまあ、これはこれでお似合いですよ」
相澤の言葉は本部長の怒りを注ぐ。
そんな捜査陣達の耳にライトの怒声が今日も響く。
「なつくなっ竜崎っうっとおしい」
そう怒鳴りながらもLの世話を焼いてしまう月は完全に捜査本部の保父さんであった。