「LOVE GOGO]
キラの容疑者 夜神 月
日本キラ捜査、夜神本部長の一人息子。
頭脳は全国共通模試一位、
典型的な優等生タイプ
初め、彼についてのデーターはそれだけであった。
殉職したFBI捜査官、レイ ペンバーの資料にはそれしか書かれていなかったからだ。
レイペンバーの殉職がきっかけとなり、夜神家に監視カメラが仕掛けられ、Lは初めて夜神 月を見た。
「L、どうしたのですか」
横にいたワタリが声をかけてくる。
「顔が赤いですよ。風邪でしょうか?」
ワタリはLの腹心の部下であり世話役でもある。
Lの体調を管理するのもワタリの大切な仕事だ。
Lは答えない。
カメラに集中している。
「L、いや竜崎、何か問題でもあるのか」
一緒に監視していた夜神本部長が不安そうに問いかけてくる。
「・・・・竜崎?」
Lの集中度はすごい。
何時も開きっぱなしの瞳孔が一段と大きく開いているようだ。
しきりに貧乏揺すりをして爪を噛んでいる。
「まさかうちのライトが」
Lの様子に夜神本部長は心配になった。
今、監視カメラに流れているのは夜神本部長の愛息、夜神 月唯一人。
他の容疑者のときは(妻と娘)Lはこんなに関心を示さなかったはずだ。
「うちのライトは正義感が強い良い子なんです」
夜神本部長は必死になってLに語りかけた。
「ボランティアにも積極的だし近所の評判もいいし、動物好きだし友達も多い、将来はお父さんみたいな警察官になるんだって何時も言っています」
可愛いでしょう、うちの息子は。
夜神本部長の息子自慢が始まると長いしくどい。
それから3時間後、息子自慢も終わりに近づいた頃、Lはようやく横を向いた。
「何か言いましたか?夜神さん」
「・・・・いえ、何も」
L、私の声も聞こえないくらいに何を集中していたんだ?
不安に押しつぶされそうな夜神本部長にLは言った。
「これから私が専属で月君の監視をします」
「なっなぜ?」
「興味があります」
Lは無表情にクワっと目を見開いた。
視線の先には夜神 月のシャワーシーンが。
「・・・L」
夜神本部長は錯乱した。
当然である。
「何にッ何に興味があるというんですか。私の息子のナニに興味があるんだー」
錯乱した夜神本部長はワタリによって部屋を退場させられてしまった。
「L.ケーキと紅茶を用意します」
今晩は徹夜ですから栄養を取らなければいけません、
ワタリはいそいそとマキシムのケーキを5つ用意する。
フォートナムメイソンのアールグレイを注ぎながらワタリはLを伺った。
「随分とお気に入りですね」
Lは探偵だ。
探偵は推理するのが人生の生きがい。
灰色の脳細胞をフル回転させている時こそLが一番輝いている瞬間
特に手ごたえのある相手と立ち会った時のLは本当に嬉しそうだ。
今回もそうなのだ、とワタリは推測した。
この画面に映っている青年をキラ容疑者と仮定してプロファイリングしているに違いない。
ワタリは画面をしげしげと見つめた。
夜神 月、ワタリの目には美しくもはかない天使のような美青年としか見えない。
だがLは何か彼に疑惑を持ったのだろう。
さすがはL,世界一の名探偵。
ワタリは一人納得するとお茶を用意してそっと部屋を立ち去ったのであった。
3日後
「L。そろそろ睡眠をとりませんとお体に触ります」
「・・・・」
Lは無言でテレビを見入っている。
夜神家監視が始まってはや数日、Lは一睡もせずに監視している。
それだけではない。
夜神月が学校に行っている間は録画したビデオを熱心に見ている。
さすがにワタリも心配し始めた。
Lが集中すると徹夜するのはよくあることだ。
だがここまで熱中しているのは過去に例が無い。
ワタリや夜神本部長の問いかけも耳に入っていない。
唯目の前にある夜神月の姿を追っている。
おかげで夜神本部長などこの3日で5キロは痩せた。
心労のためだ。
「うちのライトがキラな訳無い、キラじゃないんだー」
最近は1時間に一度は錯乱している。
本部長もお疲れのご様子だ。
ワタリはそっと涙した。
そんなワタリの心も知らず、Lは目の前の画面に全力を注いで集中していた。
ガッタンガッタン
激しい音を立てて貧乏揺すりをしながら夜神月を見続ける。
3日観続けたが夜神月に疑惑の兆候は見られなかった。
彼はごく普通の一般人だ。
キラである片鱗も見えない。
だが。Lは月から目が離せなかった。
何にひっかかるのかL自身も分からない。
唯、目の前の夜神月にだけ意識が向けられる。
彼が気に掛かる。
もっと彼をプロファイリングしたい。
それはLにとって理解不能なの感情
全てはそこから始まるのであった。