[LOVERS]


夜神月を最近苛立たせるもの。
それはキラとしての重圧でもリュークと共にいるわずらわしさでも無い。
目の前にいる男、こいつが問題なのだ。
今日も今日とて月にべったりと張り付いて月を観察している男。
「・・・ムカつく」
月は心の中で呟いた。
もちろん顔には出さない。
Lこと流河ごときで心乱されていることを悟られるような事は月のプライドが許さない。
にっこりとアルカイックスマイルを浮かべている月は天使のようだ。
周りの男子と女子と教授が見惚れている。
みんな月の美しさに目を奪われているのだ。
だが、Lは違う。
こいつも月をいつも見ている。
爬虫類みたいな何を考えているのか分からない瞳で。
いや、考えていることは分かる。
月がキラである証拠を見つけようとしているのだ。
探るような瞳がいつも月を見つめている。
それだけならいい、。
耐えられる、だが・・・
「なんでこいつが主席なんだ?」
月と同じ満点で東大入学、こんな薄汚れた犬みたいな奴が月と同じ主席。
しかし仮にもLなのだから主席くらいは当然だろう。
「運動神経も僕と同じ位良い」
月はテニスには自信を持っていた。
だがLは月と同等の実力を持っていたのだ。
それだけならまだ許せる。
仮にも彼はLなのだから運動神経も頭脳も優秀なのだろう。
「・・・・でもこれは許せない」
Lはいつも猫背だから最初は気がつかなかったけれど。
「僕よりも背が高い」
軽く見ても5センチは違う。
それによくよく見てみるとLは何か武道をやっているらしくひょろひょろのくせに筋肉がすごい。
小さい頃からどんなに鍛えて体質のせいか月には筋肉がつかなかった
これは月の密かなコンプレックスである。
亜麻色の髪に白い肌、華奢な肢体。
月の誰をも魅了する美貌が月の劣等感にも繋がっている。
小さい頃から女の子と間違えられてきた。
痴漢にあったことも数知れない。
だからこそ勉強もスポーツも努力して人になめられないようにしてきたというのに。
Lは月の劣等感をがしがし刺激してくるのだ。


昼下がりの午後
気だるい雰囲気の中での授業は眠気を誘う、
なのに横でLこと流河は月をじっと見詰めながらしきりに貧乏揺すりをしている。
あの独特な体育すわりで。
「・・・なんでこんな奴が僕と同じ主席なんだ、僕と同じくらい運動神経がいいんだ」
月がそう思うのも無理は無い。
そして
「なんでこいつは僕より体格がいいんだ」
月はそんな苛立ちを顔に出さない。
そんな月に流河は一言
「どうしたんですか?今日も苛々しているようですね」
誰のせいだ、誰の?
それよりも今日ものもはどういう意味だ?
さすがはLの観察眼、というかそんなに僕は顔に出ていたのか?
「僕は別に苛ついていないよ、何時もどおりだ」
流河はじっと月を見る。
その何もかも見透かしたような瞳はますます月を苛立たせる。
だから月は少し意地の悪い質問をした。
「流河は何時も僕と一緒にいて疲れない?これじゃあ彼女とデートする暇も無いだろう」
流河に彼女などいないことは見れば分かる。
もてないタイプの典型だからだ。
これまで一度も恋人なんて持ったことは無いだろう。
「彼女はいません、必要なりませんから」
Lの答えはそっけなかった。
本当にムカつく奴だ。
「必要ないなんて事は無いだろう」
月がそう言うと流河は簡潔に答えた。
「恋愛感情はわたしには必要無いものです。今の私にはキラの事を推理することが全てですから」
苛々する。Lの答えに。
Lは自分が正義だと言った。
だのに考え方はこんなにも月と似ている。
月も恋愛感情など必要ないと考えていた。
そんなものは一時のまやかしだと。
自分は正義でありキラは悪だと言い切っておきながらLとキラはよく似ている。
月は酷く苛突いた。
「そう、流河は恋愛をしたことがないんだ」
月が意地悪くそう言うと流河はそれを肯定した。
「はい、」
「じゃあキスもしたことが無いんだろう」
何を言ってもひょうひょうとしているLにむかついていたのもある。
月はLを動揺させたかった。
「キス一つしたことないくせに恋愛を必要ない何ていうのは愚の骨頂だな」
それだけ言うと月はLに顔を寄せた。
二人の席は教室の一番後ろだ。
誰にも見咎められることは無い。
月はLに顔を寄せるとすぐに離れた。
「どうだった?」
Lのファーストキスを掠め取り月はにっこりと笑った。
触れるだけの、一秒にもみたないキスだ。
流河は少し驚いたような顔をして、しきりに貧乏揺すりをした。
「驚きました」
相変わらずぶっきらぼうにそう言う。
だけれども耳が赤いのを月は見逃さなかった。
それから後、何故か流河は月を観察しなかった。
授業が終わるまでしきりに爪を噛みながら貧乏揺すりをしていた。
Lを動揺させた。
その事は月を満足させる。
唯、冗談のつもりだった。
触れるだけのキスなんてカウントの内に入らない。
月は遊びのつもりだったけれど、それは確実に流河を動揺させたらしい。
Lの瞳が自分を見なくなった事に月は上機嫌だった。
面白いことを発見した。
もしLがうっとおしくなったらキスの一つでもして動揺させてやればいい。
そうすればこいつはもう僕を見ないだろう。
月はLとの関係に主導権を握ったことに満足してにっこりと笑った。


普通の恋愛ものを書こうとして失敗、修行しなおします。

 

[lovers2]

 


 爪を噛むのは癖だ。
 親指を噛んでいないと落ち着かない。
 けれども最近、爪を噛んでも不安定な状態だ。
「・・・」
 Lはがりがりと爪を噛み、貧乏揺すりをした。
 今は講義の最中、隣の夜神君が嫌そうな顔をする。
 わたしはそんな夜神君を横目で盗み見た。
 視線が自然に夜神君の唇にいく。
 綺麗な紅色の薄い唇。
 この唇がわたしの唇と接触したのだと思うと妙に不思議な感じがした。
 どんな推理をした時もこんな奇妙な感覚になったことは無い。
 また落ち着かなくて爪をがりがりと噛んだ。
 あの日、夜神君はわたしにキスをした。
 何故?
 夜神君は何故口付けをしたのだろうか?
 口付けは愛し合うものがする行為だ。
 一般的には男女間で、時に愛し合っていれば同性であっても行われる。
 恋情を確認しあうための行動だ。
 ならば何故夜神君はわたしにキスしたのだろう。
 からかわれたのか?
 何故夜神君がわたしをからかうのか?
 夜神君がわたしをからかいの対象にする理由と必然性が思い浮かばない。

 あのときの事を考えると夜神君の唇の感触も思い出されてくる。
 柔らかい唇だ。
 甘く感じたのは何故だろうか?
 心臓が痛い。
 病気なのだろうか。
 心拍数が上がっている。
 体温も上昇している。
 夜神君の唇を見るとこの状態になるから奇妙だ。
 夜神君のことを思い出すだけで息が苦しくなる。
 それはあの時の口付けが起因している事は確かだ。
 原因を突き止めなければ。
 

講義が終わった後、夜神君とわたしは並んで離れの校舎を歩いていた。
 昼時なため、人気が無い。
「最近落ち着かないね、流河」
 夜神君が心配そうな顔をしている。
 その顔から目が離せなくなる。
 唇に目が吸い寄せられていく。
 原因を突き止めなければ。
 胸が痛い。
 運動をした後のようにどきどきする。
 原因を突き止めなければ。
 もう一度、もう一度原因を・・・
「夜神君」
「なに?」
 わたしは彼に言った。
「もう一度、キスしませんか」
 もう一度すれば原因がわかる。
突き止めなければ、
あの甘い感覚、柔らかい唇、
それを思い出しながらわたしは爪を噛んだ。
夜神君は酷く驚いた顔をしてわたしを見た。
何故だろう。
夜神君に見られると体温が上がる。
耳に血液が集中する。
「・・・へえ」
 夜神君は笑った。
 酷薄な笑みだった。
「冗談だろう」
 夜神君は楽しそうに言う。
 冗談じゃ無いと分かっている癖に冗談だと決め付ける。
「この前の仕返し?驚かされたよ」
 夜神君はくすくすと笑う。
「流河も僕もホモじゃないんだから、男同士でキスなんて気持ち悪いよね」
 この間はごめん、ちょっとした冗談だったんだと夜神君は言った。
「流河がいつも無表情だからそれを崩してやりたかったんだ」
 もうしないから、と夜神君は言った。

 夜神君と別れた後、わたしはがりがりと爪を噛んだ。
 噛みすぎて血が流れてきたけれど噛み続ける。
 不安な気持ちは治まらない。
 夜神君ともう一度、もう一度もう一度
 焦る気持ちが蓄積されていき不安になる。
「夜神君、」
 名前を呼んだ。
 誰も答えない。
 

苦しい
 胸が痛い。痛くて苦しい。
 息が出来ない。


 


  
 
 [lovers3]

 



 最近、Lの視線が気に掛かる。
 昼食時、月は屋上に来ていた。
 近くに高い建物が無いから眺めはすこぶる良い、
 しかし風が冷たいため、今の時期、人影は無い。
 月は昼食にと買ったサンドイッチの袋を破きながら空を見上げた。
「いい気分だな」
「ライト、ご機嫌だな」
 即空に漂っていた死神が返事を返す。
「そう、僕はご機嫌だよ」
 天気はいいし、屋上は独占出来る、
 それに何よりもここにはあのLがいない。
 月はにんまりと微笑んだ。
「今頃流河は校内をうろうろ探しまわっているだろうな」
 まるで飼い主を探す犬みたいにうろうろと月の行方を探しているんだろう。
「うっとおしんだよ」
 月はそれだけ言うとサンドイッチをパクついた。
「人のこと、じろじろ見て、失礼な奴だ」
 月は悪態を付きながら牛乳を飲み干した。
 本当に思い出すだけで腹が立つ。
 冗談で一度キスしてやったらLは二度目を期待するようになってしまった。
「馬鹿じゃないか」
 あんなの冗談に決まっている。
 なのにLはじっと月を見るのだ。
 あの黒くて深い瞳で月の様子を伺っている。
「なんか流河って動物っぽい」
 つぶらな瞳といえばアイフルのチワワだがLも結構負けていない。
 うるうるとした目で無心に見られるとさすがの月でも動揺してしまう。
「いかんいかん、情にほだされては」
 月が頭を激しく振ってサンドイッチを飲み込んだ時、屋上の扉が勢いよく開いた。
「夜神君、探しました」
 L登場、見つかったかと月は肩を落とした。
 流河は自分の昼飯を片手に月の横に座る。
 相変わらずの無表情、
 だけれども月は気が付いた。
 Lは必死で月を探していたのだろう。
 汗をびっしょりかいている。
(本当に犬だ)
 しかも駄犬、
 Lは無表情で持参のケーキをぱくついている。
「流河、僕は食べ終えたから教室に戻るね」
 月がそう言って立ち上がるとLは慌てた様に一緒に立ち上がった。
「あっ」
 流河の膝に乗せてあったケーキが転がり落ちる。
 ベショッと無残な音を立ててケーキは地面に激突した。
 Lは相変わらずの無表情だ。
 だけどケーキを落として残念がっている事は月にも分かる。
 しょうがないな
 月は肩を竦めると流河に近づいた。
「流河、キスしてもいいよ」
 月はそう言うと目を閉じる。
 一分、二分、
 Lが動く気配は無い。
 月は呆れて目を開けた。
「いいよ、せっかくさせてあげようと思ったのに」
 月が目を開けるとLは相変わらずの無表情でぼーとつったっていた。
「僕は教室に戻るからね」
 そう言って月が屋上から出て行こうとする。
「夜神君っ」
 唐突に名前を呼ばれ背後から抱きしめられた。
「流河?」
「キスしたいです。もう一度」
 もう一度、もう一度、
 流河は呪文のように唱えていた。


 キスはお世辞にも上手とはいえなかった、
 流河は下手なりにしつこくて月を辟易させる。
「んっもう十分だろう」
 10分立っただろうか
 月は流河を押し返すと屋上を出て行った。
 残された流河はぼんやりと今の事柄を分析する。
 とても柔らかかった。
 やっぱり甘かった、
 その事を考えるととても奇妙な気分になる。
 Lは胸を押さえて蹲った。
 屋上は風が強い。
 Lはその中でじっと蹲りながら呟いた。
「もっと、夜神君、もっとしたいんです、全然足りません」
 

 もう一度キスをして確認したいと思った。
 けれども確認したら症状は重くなったらしい。

 

 

「LOVERS4」

 Lが月の後を付いて回る。
 それはもう日常のこととなっていた。
 この追いかけっこはいつまで続くのだろうか?
 月がキラだと分かるまでか?
 月の正体を見極めるまでか?
 それとも月がLの物になるまでか?
「そんなことありえないよ」
 月はリュークに向かって笑った。
「僕がLに嫌悪以外の感情を持つことはありえない」
 そう言いながらも月は楽しそうだ。
「あいつが追いかけてくる惨めな姿が面白いからね」
 大学で、捜査本部でも月はLを避ける。
 Lが自分を探しているのを承知で逃げる。
 話しかけようとすると離れていく。
 それでLが焦れているのが楽しくて仕方ないのだ。
 Lの視線は次第に剣呑さを増している。
 月に触れたくてたまらない。
 その思いを隠そうともしない。
 だが相変わらずの無表情だから捜査本部の人間は気がついていない。
「なんで気がつかないのかな」
 それが不思議だ。
 あんなにも感情を露にした目をしているというのに、皆Lを無表情だという。
「僕だけしか気がついていない」 
 追いかけられている獲物の立場だから気がつくのだろうか?
 世界で一番有名な探偵L
 その視線を独占していることは純粋に楽しい。
 月はこのゲームを楽しんでいた。

 

 

 最近眠れない。
 Lにはその理由が分かっていた。
 月に触れたくて眠れないのだ。
 毎晩月のことを思う。
 そうすると体が熱くなる。
 それはLにとって初めての感情だった。
 生理現象でない感情の高ぶりによる肉体の変化。
 眠れない理由は分かるがその具体的な意味が分からない。
 理解できない。
 理解できないことが苦しい。
 何事も理屈をつけなければ納得出来ない性格だ。
 Lにとって月の存在は不可解で解読しなければいけない最重要項目であった。
「夜神君に触りたいんです」
 キスをしたい。
 もう一度あの柔らかい唇に触れてみたい。
 そうすれば意味が分かる。
 この気持に理由がつけられるような気がした。
 だが月はLを警戒している。
 傍に寄ろうとしない。
 ならばどうしたらいいか?
 Lは夜神本部長に連絡を入れた。

 

 

 深夜、月は捜査本部に呼び出された。
 父から携帯で今すぐ来いといわれたのだ。
「何か新展開でもあったのか?」
 月が緊張の面持ちで捜査本部のあるホテルのドアを開けた。
「ライト君、待っていました」
 そこにいたのはLだけ。
 他の捜査陣はいない。
「流河?他の人たちは?」
 月が不審げに問いただす。
「呼び出したのはライト君だけです」
 Lは素っ気無く答えた。
 だがLが興奮している。
 しきりに体を揺すり爪を噛んでいる。
 目があちこちに反らされて一定でない。
 月はそれを不快に思った。
「なんで僕だけ呼び出すんだ?」
 父から連絡が入ったというのに実際来ているのは月だけとはどういうことだ?
「私が夜神本部長にお願いしました。ライト君と二人だけで話しをしたいと」
 夜神本部長は喜んでいた。
 Lとライトが腹を割って話し合えばきっと誤解も解けて疑いも晴れるだろうと。
「父まで巻き込んで、僕に話したいことってなんだ?」
 月は不機嫌さを隠そうともせずに問いただした。
「何故私を避けるのですか?」
「避けてなんかいない、流河の気のせいだろう」
 月は鼻で笑った。
「避けています」
 Lは断言した。
「最近眠れません」
「流河?」
「ライト君のことを考えると眠れないんです」
 月は驚いてLの顔をまじまじと見つめた。
 確かにLは焦燥しているように見える。
 きょときょとと視線をうろつかしているのは気持が不安定な証拠だ。
「それが僕のせいだって言うのか?」
「ライト君がいれば眠れるような気がするんです」
「僕はお前の母親じゃないよ」
「はい、分かっています」
 どこかぼんやりしたLの口調に月は焦れた。
「ついでに言うと恋人でもない、そういう台詞は女にでも言うんだな」
 月は毒気付いた。
「僕は流河に付き合っていられるほど暇人じゃないんだ」
 それだけ言うと部屋から出て行こうとする。
「ライト君」
 Lの長い手が伸びた。
 一瞬のすばやい動きに月の対応が遅れる。
 気がついたときには手をつかまれ引き寄せられていた。
「ライト君に触りたかったんです」
「やめろよ、こういう冗談は悪趣味だ」
「何故ですか?ライト君からキスしてきたじゃないですか」
 もう一度したいんです。
 Lはそう繰り返した。
 それを月は冷笑する。
「あれは冗談だよ、流河が本気にするなんて思わなかったんだ」
「私が本気?」
 Lがきょとんとした顔で首を傾げる。
「キスやその他のことがしたいんだったら恋人にでも頼むんだね」
「恋人はいません」
 Lは何を言われているかわかっていない顔だ。
「でも私はライト君とキスをしたいしライト君に触りたいんです」
 こいつは馬鹿か?
 月はため息を付くと子供に諭す口調で話しかけてやった。
「だからそういうことは恋人相手とするものだろう」
 月と流河がするのは間違っている。
 Lが月を追い掛け回していても月はLが嫌いなのだから。
 二人は恋人ではないのだから。
 そう言いたかったのだが。
「流河?」
 Lはぼんやりとした顔で月をじっと見詰めていた。
「私がライト君を好きなんですか?」
 まるで動物のように首を奇妙にかしげて月を見詰めている。
(まさか)
 月は己の失態に舌打ちをした。
 Lは気がついていなかったのか?
 あれだけ月を追いかけておきながら、あんな目で月を見ていながら・・・
 自分の感情に無自覚だったというのか?
 だとしたら月は大きなミスを犯したことになる。
 Lの月に対する執着に名前を与えてしまった。
「離せよ、今のも冗談だから本気にするなよ」
 月はLの腕の中から逃れようとした。
 だがLはますます手の力を強くする。
 月を拘束するように思いを込めて抱きしめてくる。
「私がライト君を好き?」
「離せっ」
「私はライト君を好き?」
「やめろっ流河」
 名前を呼ばれてLは腕の中にいる月に視線を向けた。
 黒い、底なし沼のように真っ黒な視線が月を捉える。
 月だけを捉える。
「やっと分かりました」
 Lは月に向かって嬉しそうに口を歪めた。
「私はライト君が好きなんです」
 眠れない原因の理由を見つけたLはもう迷わない。
 原因は分かった。
 後はそれをどう処理するかだ。
 Lは月が好きなのだ。
 ならばどうすれば手に入れられるかを考えればいい。
 行動すればいい。
「ライト君、好きです」
 Lの長い手がライトを拘束する。
「やめろっ」
 月が短く悲鳴を上げる。
 だがそれは誰にも聞かれること無くホテルの一室に消えていった。


   あれ?Lが壊れている、すいません。