「第十三艦隊誕生」


自由惑星同盟の首都ハイネセンポリス
そこから100キロほど離れたここ、同盟軍統合作戦本部ではこの日アスターテ会戦戦没者の慰霊祭が行われようとしていた。

 

アスターテ会戦の 功労者でもあるヤンウエンリーは慰霊祭を仮病で欠席し、家で不貞寝を決め込んでいた。
そんな保護者にユリアンが紅茶を差し出す
「うーん、やっぱりユリアンの入れる紅茶は最高だな」
一口含んでヤンは微笑んだ。
「昨日学校で来年以降の進路を聞かれました」
ユリアンは二杯目の紅茶を準備しながらヤンに報告する。
「僕は軍人になる道を選びたいんですが」
「軍人?」
ヤンは眉をひそめた。
「ええ、死んだ父も軍人でしたから」
「親の職業を子が継がなきゃいかん法は無いさ」
ヤンは顔をしかめながら言葉を続ける。
「現に私の父は商人だった。借金だらけで倒産寸前だったがね」
「でも僕の養育費は軍から出ていて僕が軍務につかないときは返却しなければいけませんし・・・」
顔色を曇らせたユリアンにヤンは苦笑した。
「返すさ」
「え?」
「お前を引き取った保護者を過小評価するなよ、それぐらいのたくわえはある」
ユリアンはあわてて背筋を伸ばした。
「そこまでご迷惑はかけられません」
直立不動するユリアンにヤンの苦笑は深くなる
「生意気言うなよ、子供のくせに、子供っていうのは大人を食い物にして成長するもんだ」
その言葉にユリアンは頬を染めた。
「食い物にしてもいいんですか?」
「ああ。もちろんだ」
にっこりと笑うヤン。ユリアンの顔はますます赤くなる
「食べちゃってもいいんですね」
「・・・・ユリアン?」
「僕、食べるのは初めてですけど、でもがんばりますから」
ユリアンの顔は真っ赤だ。しかも汗までかいている。
ヤンの背筋に嫌な汗が流れた。
「絶対准将をご満足させてみせます」
ユリアンの目は充血している。しかも息が荒い
ヤンは後ずさった。ユリアンがじりじりとにじり寄ってくる
「ユリアン、ユリアン落ち着くんだ。まてユリアン ユリアーン」
ヤン家で起こった騒動がどうなったか?それは秘密である




ヤン家の被保護者は軍人になるよりもまず前におたくに成長していた。