「夜会」


「あなたを愛しています」

自分が誰かにこんな言葉を言う日が来るとは思わなかった。
イゼルローン要塞防衛指揮官、ワルター フォン シェーンコップは自嘲の笑みを浮かべながら囁いた。
「あなただけを愛しているんです」
「ああ、私も愛しているよ」
シェーンコップの腰にまたがり愛しい人は愛の言葉を返してくれる。
「シェーンコップ・・だから・・・もっと・・奥を」
先程からずっと?がった姿勢でシェーンコップは愛を囁き続けている。
30分も繋げたまま胸の飾りを弄くり愛撫を咥え、口で吸って言葉で語りかける。
全身全霊を込めて本心を告げる。
「こんなに夢中になったのはあなたが始めてです。最初で最後だ」
「ああぁっ分かっている、だから」
動いて。
彼の体がもどかしげに揺れた。
蕾が収縮して雄を待っている。
入れられているだけでは足りない。
最奥までえぐって、突いて、精液を撒き散らして欲しいと腰が揺れる。
普段からは想像も出来ない淫猥な姿だ。
「私が欲しいんですね、閣下」
シェーンコップは確認した。
「単なる雄が欲しいのでは無く私を求めているのでしょう」
むなしいと分かっていても確認してしまう。
「うんっシェーンコップが欲しい、君の・・・逞しいコレが欲しいんだ」
言葉で、態度で彼はシェーンコップを誘う。
どんな娼婦よりも淫らだ。
なのにどんな聖女よりも無垢に見えるのは惚れた弱みだろうか。
「もう・・・焦らさないで」
意図して内壁を動かしている。
男根を絞り込みミルクを欲しがっている。
前後に揺れる体は男に慣れている。
「淫乱ですな、閣下は」
耳元で囁くと彼は嬉しそうな顔をした。
「男のこれが好きなのでしょう。これが無くては夜も眠れないのでしょう」
「あっシェーンコップ」
「私で無くてもいい、誰にでも足を開くのでしょう」
「うんっうん・・・そうだよ」
「いやらしい人だ。あなたを信望する連中にこの姿を見せてあげましょうか」
「いやっそれは・・・」
言葉で興奮したのだろう。
彼の果実から先走りの蜜が滴り落ちる。
「ユリアンは驚くでしょうね。あの子はまだ経験したことが無い。閣下の乱れようを見たら軽蔑して性に対して不信感を持つかもしれない」
「いやだっ言わないで」
そう言いながらとろとろと蜜は止まらない。
「それともユリアンは興奮するかもしれませんね、あの子は閣下に惹かれている。盲目的なまでに」
「違うっユリアンは・・・」
抵抗を許さずぐいっと腰を奥まで突き入れた。
「ひぃっああぁっ」
「今の閣下を見たら絶対にあの子は勃起しますよ」
「そんなことはないっあぁ」
「ユリアンはずっと閣下の傍にいますね、閣下だけを見ていますね、従卒なのだから当たり前だ、ひょっとしたら今も物陰に隠れて見ているかもしれない」
その瞬間、彼は激しく震えた。
「ああぁ、んっやあぁ」
しかし彼はイくことが出来ない。
情事が始まる前、シェーンコップは紐で彼のペニスを縛っていた。
勃起しても射精出来ない様に。
「イってしまったんですか。射精もしていないのに。いやらしい人だ。まるで女の様ですね」
内壁がますます蠢く。
蠕動しシェーンコップの男根を刺激してくる。
ゆるゆると、しかし動かすのも辛いほど絞り込んでくる。
「見られていると思ったら感じたんですね。そう、ユリアンはきっと見ている。物陰に隠れて閣下の痴態を見ながら自慰をしているでしょう」
「あっああぁっあっ」
「ひょっとしたら見ているのに我慢出来なくなって出てくるかもしれない。そうしたら二人で愛してあげますよ。私は後ろから、ユリアンには前を舐めてもらいなさい」
果実には紐が痛い程食い込んでいる。
射精寸前で止められたそれは真っ赤に熟れている。
「ユリアンは下手糞でしょうね。だから閣下が教えてあげればいい、おしゃぶりの仕方を」
上手でしょう。あなたは。
私のこれで勉強したのですから。
それに他の男にも教えられたのだから。
胸の奥に過ぎった苦い思いをシェーンコップは押し殺した。
「アッテンボローも閣下に惚れている。あいつも呼びましょう。三人で体中を嘗め回して順番に犯してあげましょう。閣下なら大丈夫ですよ。慣れているのですから」
またも彼は痙攣した。
恍惚とした表情で震えている。
「またイってしまったんですね、はしたないそれでも同盟史上最高の英雄と呼ばれた人ですか」
「ああ、シェーンコップ。もっと、もっとぉ」
彼の腰が限界まで揺れる。
娼婦も顔負けの痴態
「では言って下さい。言葉を」
「好きっシェーンコップが・・・君のこれが。ああぁ。最高だよ、私の中でいっぱい出して。焦らさないで」
じゅぷじゅぷっと淫猥な音を立ててシェーンコップが勢い良く腰を動かした。
激しいピストン運動に彼の体がぐらぐらと揺れる。
「では誓いなさい」
「うんっ分かってる。もう・・・誰にも触らせない。入れさせない。だから・・・私を汚して」
その言葉を聞いてようやくシェーンコップは精液を放出した。
「はあぁっあ・・・熱い。君の・・気持いい」
「約束ですよ。閣下」
優しく頭を撫でてやりながら耳元で囁く。
「あなたは私の物です。欲しいのなら幾らでも与えてあげる。だから他の誰にも触らせないで」
返事は無かった。
顔を覗き込むと柔らかな寝顔。
シェーンコップは無言で彼を抱き上げるとバスルームへと向う。
今日は優しく抱くつもりだったのにまたやってしまった。
苦い思いが逞しい体躯の中で渦巻いている。
後悔など自分には似合わないが、彼と一緒にいると何時もこうだ。
彼は自分に抱かれる。
男だという矜持を捨て足を開く。
愛していると言えば答えてくれる。
だが・・・シェーンコップは知っていた。
彼は満足していない。
抱かれて、貫かれても優しいだけの男では物足りないのだ。
彼をこうしたのはあいつ。
あの下種のせいだ。
顔を思い出しシェーンコップは眉を潜めた。
あいつの事を忘れさせてみせる。
優しくして、誰からも守って、愛してあげれば彼は自分の物になると思っていたのに。
今もそうだ。
彼との情事にはいつも奴の残像が付きまとう。
奴は酷い行為を強いて閣下の体と精神を壊したのだ。
「許さない」
誰も聞いていない独り言をシェーンコップは繰り返した。
気絶するように眠った愛しい人の体を清めながら心の中で奴を罵る。
あいつは最低の奴だ。
卑怯で最低で人間を紙くずのように使い捨てる。
権力のためなら民衆を死地に追いやっても平気な男。
口先だけの詭弁で市民を騙し続け、閣下を窮地に陥れる奴。
だが、そんな事でシェーンコップが苛立っているのでは無かった。
一番許せないのは奴が彼を、ヤンウェンリーを抱いた事。
抱いた理由を思い出しシェーンコップは一瞬眩暈にも似た憤怒に襲われた。
大丈夫だ、奴はいない。
このイゼルローンには来れない。
もう閣下に手出しは出来ない。
シェーンコップは怒りを抑えるため拳を握り締めた。
奴を許せない本当の理由。
あいつはこう言ったのだ。

「私はヤンウェンリーを愛している」・・・と

それだけはシェーンコップにとって絶対に認められなかった

 

 

夏で落ちたコプヤンのさわり・・・ううう・・・落として悲しい・・・すいません