「LOST4」


「「で?どうだったんだよ、アッテンボロー」
「聞かせろよ、ダスティ」
 部屋に戻ると悪友共が首を揃えて待っていた。
「落ち着けって、一服くらいさせろよ」
 アッテンボローはベットに腰掛けると渡されたビールを一気に飲み干す。
 瓶から口を離し、悪友が目を輝かせて自分を取り囲んでいるのに苦笑した。
「さえない先輩だと思ったけど中々楽しかったぜ」
「どこまでいったんだよっ」
「取り合えずお付き合いは保留だけどな、次に会う約束は取り付けてきた」
 ヒューッ悪友が音にならない口笛を吹いた。
「さすがダスティ アッテンボロー、女だけじゃなく男にもフェロモンは有効かよ」
「もう寝たのか?なあ教えろよ」
「セックスはしてないけどキスはしたかな」
「・・・さすが。手が早い」
 仲間がやんや囃し立てる。
「こりゃあ賭けはアッテンボローの全勝だな、ちくしょう、今度は俺達の勝ちだと思ったのに」
 アッテンボローは二本目のビールを手にするとにやりと笑った。
「まあそう言うこと、悪いな、みんな」
「悪いと思うなら負けて見せろよ」
「ちぇ、学食一年分か」
「俺のジャケットと腕時計、高かったのに」
「ほら寄越せよ、今度のデートにこれ着ていくんだから」
 えげつなくアッテンボローが仲間から徴収する。
「賭けの事は先輩には内緒だからな。ばれたら今後のお付き合いに影響が出る」
 その一言に仲間は再度盛り上がった。
「なんだよっ本気か?」
「あんなさえない男のどこがいいんだ?」
 仲間の言葉にアッテンボローは意味深な笑みを浮かべた。
「そのさえない所がいいんじゃないか。初心なのが新鮮で可愛いよ、あの先輩」
「マジで惚れたのか?」
「こりゃ特ダネだ。アッテンボローがついに年貢を納める。相手は2年上のヤンウェンリー」
「言ってろ言ってろ、だけど俺達の邪魔はするなよ」
「俺達のだって、結構真剣じゃん、ダスティ」
「俺らは黙って見守っているぜ」
「せいぜい上手いことやれよな」
 口々に文句とも激励とも取れる言葉を吐きながら仲間達はアッテンボローに賭けの代金を支払った。